三菱重工業と関西電力など電力会社4社が、次世代の原子力発電所を共同開発することが、日経ビジネスの取材で分かった。現行の加圧水型軽水炉(PWR)と呼ばれるプラントに比べ安全性を高め、2030年代半ばの完工を目指す。脱炭素を進める上で化石燃料を燃やす電源の新増設は難しい一方、再生可能エネルギーだけでは電力不足を解消できない。政府が原発新設にかじを切ったのを受けて、新たな選択肢として実用化に動く。

 月内にも発表する。ほかに開発に参画する電力会社は、北海道電力、四国電力、九州電力。いずれも現在、三菱重工のPWRを採用している。三菱重工は運用システムや非常時の機器設計などについて顧客である各社の要望を取り入れながら、本格的な商用プラントの開発に入る。

 岸田文雄首相は8月、次世代型原子力発電所の開発・建設を検討するよう関係省庁に指示。原発の新増設に後ろ向きだったこれまでのエネルギー政策を転換した。三菱重工が開発を主導する新型原発はこれを受けたプロジェクトの第1弾となる。

 新型原発を実用化できれば、エネルギーの安定供給体制の構築とカーボンニュートラル(温暖化ガスの排出実質ゼロ)への取り組みを両立することにつながる。

日本は脱炭素時代に対応した電源確保が急務になっている(関西電力の美浜原子力発電所)
日本は脱炭素時代に対応した電源確保が急務になっている(関西電力の美浜原子力発電所)
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