長崎の石炭火力を高効率発電に転換 Jパワー、脱炭素の流れ受け
電源開発(Jパワー)は16日、石炭を燃料とする松島火力発電所(長崎県西海市)の2号機(出力50万キロワット)について、高効率の石炭ガス化複合発電(IGCC)に転換すると発表した。2024年に工事を開始し、26年度の運転開始を目指す。脱炭素社会の実現に向け、経済産業省は二酸化炭素(CO2)排出量の多い非効率な石炭火力の休廃止を打ち出しており、発電効率を上げることで発電所の維持を図る狙いがある。
東京都内で記者会見したJパワーの菅野等取締役常務執行役員は「古い発電所を全てやめるとかなり供給力が失われる。既設の発電所を利用することで投資を抑えることができる」と述べた。一方、1号機(同)は30年までに稼働を休止する方針も明らかにした。
同社は全国で石炭火力を14基運営する。松島火力発電所の2基は、いずれも1981年に運転を開始した非効率な設備だ。同社が石炭火力をIGCCに置き換えるのは初めてで、国内でも既存の発電所からの転換は例がないという。
IGCCは、石炭を蒸し焼きして発生させたガスでタービンを回した後、その排熱から生み出した蒸気で、もう一度タービンを回す仕組み。2段階で発電することで、効率を上げることができる。
経産省は昨年7月、非効率な石炭火力を30年度までに段階的に休廃止する方針を示した。2号機をIGCCに転換することで発電効率が約1割上がり、高効率な設備に変えられるという。
一方、Jパワーは同日、山口県宇部市で宇部興産と進めていた石炭火力の新設計画を断念すると発表した。これで同社が関わる石炭火力の新設計画はなくなった。 (石田剛)