ザイフリボク

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ザイフリボク
クロンキスト体系
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
亜科 : ナシ亜科 Maloideae
: ザイフリボク属 Amelanchier
: ザイフリボク A. asiatica
学名
Amelanchier asiatica (Siebold et Zucc.) Edwards[1] ex Walp. (1843)[2]
英名
Asian serviceberry

ザイフリボク(采振木[3]・采振り木[4]学名: Amelanchier asiatica)はバラ科の植物。別名シデザクラ[3]

名称[編集]

和名「ザイフリボク」の由来は、白く細長い花弁をつけた花序の形が、武士が戦陣を指揮するときに振るう采配に見立てたことから「采振ざいふぼく」と名付けられている[5][6][3]。別名の「シデザクラ」は、細長く白い花弁を、しめ縄につける細長い紙片の四手に例えたものである[6]中国名は「東亞唐棣」[2]

特徴[編集]

日本朝鮮半島に分布し[5]、日本では本州中南部(岩手県以南)、四国九州に分布する[5][3]。山地に生える[5][3]。寒さに強く、萌芽生もあり、あまり土地を選ばずにどこでも育つことができ、やや湿ったところを好む性質がある[6]

落葉広葉樹小高木で、高さは約10メートル (m) になる[3]。幼木は灌木状になる[6]。樹皮は淡灰褐色で縦筋があるものや、ないものがある[4]。枝は無毛で短枝でがよくできる[4]。一年枝は細く、紅紫色で皮目が多い[4]互生し、長さ4 - 9センチメートル (cm) の長楕円形から楕円形で葉先は尖り、葉縁鋸歯がある[5][3]。若葉は裏側に白い綿毛が密生する[3]

花期は4 - 5月[3]。枝の先に白い花を密集して咲かせる[5][3]。花の花弁は5枚で長さは10 - 15ミリメートル (mm) の線形、雄蕊は20本ある[3]雌蕊花柱は5本で中央部まで合着する[3]

果実は直径6 mmほどの球形で、秋に熟すると黒紫色になり粉白色をおびる[5][3]

冬芽は枝に互生し、長楕円形、紅紫色でツヤがある芽鱗5 - 9枚に包まれていて、芽鱗の縁が白い毛で縁取られている[4]。葉痕は三日月形で、維管束痕が3個みられる[4]

利用[編集]

庭木公園木として植栽に利用される[5]。これとは別に庭木にされるもので、北アメリカに産する近縁種のアメリカザイフリボク (A. canadensis) はジューンベリーと呼ばれており、赤く熟した果実を食用とする[4]

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、161頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社中公新書〉、2006年2月25日、78 - 80頁。ISBN 4-12-101834-6 
  • 西田尚道監修 学習研究社編『日本の樹木』 5巻、学習研究社〈増補改訂 ベストフィールド図鑑〉、2009年8月4日、87頁。ISBN 978-4-05-403844-8 
  • 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、177頁。ISBN 4-522-21557-6