中国軍機の多数侵入、台湾が確認 2日連続

A Chinese H-6 bomber flies on a mission near the median line in the Taiwan Strait on 18 September 2020

画像提供, Reuters

画像説明, 台湾海峡を飛行する中国軍の対潜哨戒機(昨年9月)

台湾は24日、中国軍の戦闘機など多数の軍用機が2日続けて防空識別圏に侵入したと発表した。アメリカではジョー・バイデン政権が発足したばかりで、中国によるアメリカへのけん制との見方が出ている。

台湾国防部によると、24日に中国軍機15機が侵入した。これ以前にも同様の訓練飛行があり、米政府が警告を発していた。

中国は台湾を自国の一部とみなしている。一方、台湾は主権国家との立場をとっている。

アナリストらは中国軍の動きについて、バイデン米政権が台湾をどのくらい支援するのかを試すものだとしている。

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通常は数機

中国はここ数カ月間、台湾南部と、台湾が支配する南シナ海の東沙諸島との間の上空で、航空機を定期的に飛ばしている。

台湾国防部によると、通常は偵察機や対潜哨戒機など1~3機による飛行だという。

しかし23日には、核兵器を運べる爆撃機8機と戦闘機4機、対潜哨戒機1機が、台湾の防空識別圏の南西部に入り込んだ。

さらに24日には、戦闘機12機、対潜哨戒機2機、偵察機1機が侵入した。両日とも台湾の空軍が警告を発して圏外に退出させるとともに、防空ミサイルシステムを使って中国軍機の動きを監視したという。

中国政府は公式なコメントを出していない。

今回、中国(CHINA)軍機の飛行が確認されたのは、南シナ海(South China Sea)の東沙諸島(Pratas Islands)と台湾(TAIWAN)南部の上空。

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どんな意味がある?

中国軍の訓練飛行は、バイデン米大統領の就任からわずか数日後に実施された。バイデン氏は人権や貿易、香港、台湾など、米中関係の悪化につながっている幅広い問題で、中国に圧力をかけ続けるとみられている。

トランプ前政権は台湾と緊密な関係を構築。武器売却を加速させ、中国からの強い警告にもかかわらず、台湾に米高官を派遣した。トランプ氏が大統領を退任する間際には、当時のマイク・ポンペオ国務長官が、アメリカと台湾の当局者同士の接触に関する制限を解除した

バイデン新政権が中国と台湾の問題にどう臨むかはまだ明確ではない。しかし、米国務省のネッド・プライス報道官は、23日の中国軍機の動きを受けて声明を発表。「アメリカは中華人民共和国(PRC)が繰り返し、台湾など周辺に脅威を与える行動を取っていることを憂慮している」とし、アメリカは台湾との関係を強化し続けると述べた。

さらに、「中国政府に対し、軍事、外交、経済の面で台湾に圧力をかけるのをやめ、民主的に選ばれた台湾の代表らと意味のある対話を始めるよう強く求める」とした。

20日にあったバイデン氏の大統領就任式には、台湾の事実上の駐米大使である蕭美琴氏が招待された。新政権による台湾支援の新たなサインと受け止められている。

台湾の与党・民主進歩党の有力議員、羅致政氏はロイター通信に対し、中国の動きはアメリカの台湾支援をけん制する狙いがあると分析。「バイデン政権にメッセージを送っている」と話した。

中台の対立の背景

中国と台湾は1949年に国共内戦が終わった後、別々に政府を樹立。中国は長年、台湾の国際的な活動を制限しようとしてきた。また、双方とも太平洋地域での影響力を争ってきた。

近年、双方の緊張は高まっており、中国は台湾を取り戻すために軍事力の使用も排除しないとしている。

台湾と正式に国交を結んでいる国はごく少数だが、民主的な選挙を経て構成された台湾の政府は、多くの国と強い通商関係や非公式な関係を築いている。

アメリカは多くの国と同様、台湾とは正式な国交を結んでいない。一方でアメリカの法律は、同国が台湾に自衛の手段を提供するよう定めている。