イギリスも「免疫パスポート」発行を計画…抗体検査の信頼性向上が前提

イギリスも免疫パスポートを計画

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  • イギリス政府は、COVID-19から回復した人々がロックダウンから早期に離脱できるように「免疫パスポート」の発行を計画している。
  • イギリスのマット・ハンコック保健相によると、この証明書は、コロナウイルスに対する免疫を獲得した人に発行され、「普通の生活」に戻れるという。
  • 証明書が発行されるためには、抗体検査で陽性反応が出る必要がある。
  • しかし、イギリスはまだこのウイルスに対する信頼できる検査法が見つかっていない。

イギリスのマット・ハンコック(Matt Hancock)保健相は、COVID-19に罹患した人々に「免疫パスポート」を提供し、「普通の生活」に戻れるようにする計画があると述べた。

同氏は記者会見で、「免疫証明書の発行を考えている」と述べた。「この病気にかかった人は、抗体を獲得して免疫をつけるので、そのことを示すことができれば、普通の生活に戻ることができるようにする」

さらに「これは計画であり、実現することになるだろうが、それを科学的に担保するには、まだ早すぎる」と付け加えた。

イギリスはすでに非常に多くの抗体検査を行っている。しかし、これまでのところ、正確ではないことが判明しており、政府はまだ使用を承認していない。「初期の結果は芳しくなかった」とハンコック氏は言う。

「しかし、今後、人々が安心して使える、信頼性の高いものになることを信じている」

ハンコック氏によると、信頼できる抗体検査が見つかれば、毎日何十万もの検査が行われる可能性があるという。

しかし、これまでのところ、コロナウイルスの検査は成功を収めているとは言えない。スペインでは最近、中国企業の検査キットで実施した数万件の迅速コロナウイルス検査の結果に一貫性がないことが判明し、検査キットの返還を余儀なくされた。

Quartzの報告によると、いくつかの検査では偽陽性が示され、それは一般的なコロナウイルスに対する抗体が検出されたものだった。

また、科学者たちは、過去の感染がどの程度再感染を防ぐことができるのか、また免疫がどれくらいの期間維持されるのかについても確信が持てないままだ。

ドイツも免疫証明書の発行を検討している。

ドイツのヘルムホルツ感染研究センターの研究者らは、今後数週間で数十万件の抗体検査を実施し、人々をロックダウンから解放することを計画していると、デア・シュピーゲル(Der Spiegel)誌が3月27日に報じた。このプロジェクトが承認されれば、10万人を対象に検査が行なわれるという。

この検査は、COVID-19のウイルスに対する抗体ができているかどうかを調べるために行われる。抗体が見つかれば、その人がかつてキャリアであり、免疫を獲得した可能性があることを示す。

検査結果が陽性であれば、その人はロックダウンから逃れることができ、陽性の検査結果がたくさん出ている地域が現れれば、「集団免疫」を獲得したとみなして規制を緩和することができる。

このプロジェクトを率いる疫学者のゲラルド・クラウス(Gerard Krause)氏は、免疫のある人は「予防接種済みカードのようなものを与えられ」、「彼らの仕事に対する制限が解除される」と述べている。

ドイツは、COVID-19による死亡率が最も低い国の一つで、一部の専門家や解説者は、これはメルケル政権が大規模な検査を実施した結果だと述べている

[原文:The UK plans to issue coronavirus 'immunity passports' so people can leave the lockdown early

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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