韓国中堅半導体、中国ファンドが買収へ 1500億円規模
【ソウル=細川幸太郎】韓国の中堅半導体メーカー、マグナチップ半導体は29日、中国系投資ファンドのワイズロードキャピタルの買収提案を受け入れると発表した。ワイズ社はTOB(株式公開買い付け)を行い、直近株価に54%のプレミアムを乗せた1株29㌦でマグナチップの全株を取得する方針。取得金額は14億㌦(約1500億円)規模となる見通しだ。
マグナチップは主にディスプレー駆動用半導体や汎用品の電源管理半導体を手掛けている。生産設備は持たず、半導体設計に特化したファブレスメーカーで、2020年12月期の売上高は5億710万㌦、営業利益は2700万㌦だった。ワイズ社は21年中の買収完了を目指す。
中国は政府主導で半導体産業の育成を進めており、同国ファンドによる買収について、韓国内では技術流出を懸念する声も出ている。マグナチップは「売却後も雇用や拠点に変化はない」とした上で「ワイズ社は経営や研究開発には介入せず、我々の成長を見守ってくれる」としている。
ワイズ社は16年にオランダの半導体大手NXPセミコンダクターズから汎用半導体部門を買収した経緯がある。
マグナチップは04年にハイニックス半導体(現SKハイニックス)からシステム半導体部門が独立して設立された。米系ファンドに買収されたのち、11年に米ニューヨーク証券取引所に上場した。韓国内に事業所を設け、従業員880人の大半は韓国人という。