内容説明
大正期における西洋生まれの自由思想の受容は、多くの教育活動家・思想家たちに多大な影響を与え、学校内外での多様な「実践」へと結実した。こうした数々の「実践」に注目、「実践」のきわめて創造的であり、かつ協働的である側面を明らかにした。激動の時代の中で行われた個々の大正新教育の「実践」が、再び自己内と共に他者間で相互に共鳴・連動し、不断に再構築される様を描いた「大正新教育」シリーズ第3弾!
目次
教育実践のプラクシス―大正新教育の「実際的」とは何か
第1部 教育思想史からのアプローチ(片上伸における道徳教育としての文芸教育―文芸評論から文芸教育論へ;有島武郎の生長教育論―『一房の葡萄』の愛;野口援太郎の修養論―教師における科学的態度の形成;河野清丸の「自動主義教育」における教師と子どもの関係論―「生活」概念をめぐる倉橋惣三の保育思想との比較を通じて;羽仁もと子における「自由」―「自労自活」の生活と「宗教心」の教育;篠原助市の自由教育学―教育学の閉鎖性と開放性;木村素衛の教育思想の臨床性―「プラクシス」を語る言葉)
第2部 教育実践史からのアプローチ(大正新教育と学習経済論―「能率の共同体」における自由;大正新教育の実践にみる教育測定研究の意義―平田華蔵による測定法導入と教師の変容;東京女子高等師範学校附属小学校における作業教育の実践改革―「真の社会」を形成する「交通」と「共働」の「自由」;東京女子高等師範学校附属小学校のカリキュラム改革における教科研究―協同研究を通した唱歌専科教師玉村なみの実践改革;富士尋常小学校のカリキュラム改革にみる教師の協働―教師の成長を促す学校経営;ランバス女学院附属幼稚園における自由保育の実践―高森富士の保育論に着目して;倉橋惣三における誘導保育論の成立―アメリカ新教育理論の受容)
交響する自由へ―実践・自然・交感のつながり
著者等紹介
橋本美保[ハシモトミホ]
1963年広島県生まれ。専攻は教育学(教育史、カリキュラム)。東京学芸大学教育学部教授。広島大学大学院教育学研究科博士課程後期中途退学、博士(教育学)広島大学
田中智志[タナカサトシ]
1958年山口県生まれ。専攻は教育学(教育思想史・教育臨床学)。東京大学大学院教育学研究科教授。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学、博士(教育学)東京大学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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