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ワクチン接種、10-11月には希望者全員に-菅首相が党首討論で表明

更新日時
  • 立憲は内閣不信任案提出の判断材料に、自民は早期解散論でけん制
  • 2年ぶりの開催、質疑時間短く形骸化-過去には政局の舞台に

菅義偉首相は9日、新型コロナウイルスのワクチン接種に全力を挙げ、10月から11月にかけて希望する全国民に終えたいと表明した。政権発足後初めて行われた党首討論で述べた。

  ワクチン接種の状況について8日は100万回を超えたと指摘し、今月末には累計で4000万回を超えることができるとも語った。 

Party Leaders Debate On Coronavirus Measures As Diet Wraps Up Session

党首討論に臨む菅首相(9日・国会)

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  首相と野党党首と一対一の対面形式で行う党首討論は2019年6月以来2年ぶり。立憲民主党の枝野幸男代表は、東京などで発令中の緊急事態宣言を解除する規準を明確にするよう求めた。

  政府の経済対策に関しては、枝野氏が「30兆円規模の補正予算を速やかに編成するべきだ」と主張。菅首相は、昨年度補正予算や予備費を含め「今年度への繰り越しが30兆円ある」として、早期の補正予算編成には否定的な見解を示した。将来的には「状況を見て判断する」と述べた。

  今国会の会期末が16日に迫る中、菅首相はコロナ対策の切り札と位置付けるワクチン接種を加速させている。7月23日に開幕する東京五輪についても「国民の命と健康を守ることが前提条件」とした上で、開催に意欲を見せる。東京などに発令中の緊急事態宣言を期限の20日で解除し、東京五輪を開催できるかは、衆院解散の時期や自民党総裁選の行方も左右する。

菅首相のその他の発言
  • コロナ対策を優先させていきたい-衆院解散の時期
  • 今の子どもや若者に希望と勇気を伝えたい-五輪開催で

  立憲民主党は討論での首相の答弁を踏まえて内閣不信任決議案を提出するか判断する方針を示す。一方で自民党の二階俊博幹事長は、提出された場合は「直ちに解散の決意」だとけん制。衆院解散を巡る与野党の駆け引きが活発化している。 

Party Leaders Debate On Coronavirus Measures As Diet Wraps Up Session

党首討論で質問する枝野代表(9日・国会)

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  2000年に正式導入された党首討論は05年までは年5回以上、その後も複数回は開いた。民主党政権時代の12年には、当時の野田佳彦首相が安倍晋三自民党総裁との論戦で、衆院解散を電撃表明するなど政局を動かす舞台にもなった。

  第2次安倍政権下で実施回数は減り、17年には初めて一度も開催されなかった。議論がかみ合わない場面も多く、形骸化。18年には枝野氏と当時の安倍首相が共に「歴史的使命を終えた」と発言する事態に至った。

  1回当たりの質疑時間が合計45分と短いことから、野党側も最近はより多く確保できる予算委員会の開催を重視する傾向にあった。今回、開催を求めた背景には、衆院選を見据え首相を追及する姿を示し存在感を高める狙いもある。

  菅内閣の支持率は読売新聞が4-6日に実施した世論調査で5月より6ポイント減の37%となり、20年9月の発足以降最低だった。政党支持率は自民が33%、立憲民主は5%、公明と共産が各3%で野党への支持も広がっていない。

菅内閣の支持率の推移

出所:読売新聞

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(菅首相の発言を追加しました)
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