内容説明
2019年春ダブル・クロス選挙で「大阪維新」が勝利し、「大阪都構想」をめぐって大きな岐路に立つ大阪。その背景にある社会構造の変容と市民間の「裂け目」を捉える野心的研究!戦後の高度経済成長期にドーナツ化現象で人口を減らした大阪都心では、バブル崩壊によって生じた未利用地に大規模なマンションが建設され、21世紀には急激な人口の「都心回帰」が見られている。昨今の維新ブーム=政治・社会の変容の背景には、「都心回帰」に伴う新しいアッパーミドル層の増加と地域コミュニティの大きな変化がある。大阪都心とその周縁部には外国人や貧困層、ホームレスなどのマイノリティに関する構造化された社会問題もある。大都市のマクロな変動と地域コミュニティの変化を視野に収めた重層的アプローチから、今日の「さまよえる」大阪の実像を捉えた都市社会学研究。
目次
本書の課題と視点
第1部 都市が変わる、都心が変わる―都市再編と『都心回帰』(「都心回帰」時代の「第二都市」大阪の社会学に向けて;グローバル期における大阪市の「中心性」;職業階層から見た京阪神大都市圏の空間構造とその変容;大阪市の「都心回帰」現象の特徴―人口・世帯動態を中心に;「都心回帰」と都市政治―大阪市政の「維新」ブームをめぐって)
第2部 都心に暮らす―都心居住と都心コミュニティ(大都市の発展と住民統治・地域住民組織政策の変遷;都心の地域社会の変動と町内会―地域振興会から地域活動協議会へ;マンション建設と地域社会ジェントリフィケーションとしての都心地区の変動;「都心回帰」と大阪市の商業;変貌する新世界―戦後新世界の地域イメージと商店街)
第3部 都心の「周辺」―マイノリティのコミュニティ(「都心回帰」する大阪の貧困;学ぶ都心―夜間中学にみる大阪;外国人たちの大阪都心;大阪都心のニューカマーコリアン;インナーシティの新華僑と地域社会)
大阪の求心性はいかに回復されるか
著者等紹介
鰺坂学[アジサカマナブ]
同志社大学名誉教授。1948年鹿児島県生まれ。大阪市立大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学、博士(文学)。地域社会学・都市社会学
西村雄郎[ニシムラタケオ]
大谷大学社会学部教授。1956年北海道生まれ。金沢大学大学院文学研究科修士課程修了、博士(文学)。地域社会学
丸山真央[マルヤママサオ]
滋賀県立大学人間文化学部教授。1976年神奈川県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学、博士(社会学)。政治社会学、都市研究
徳田剛[トクダツヨシ]
大谷大学社会学部准教授。1971年大阪府生まれ。神戸大学大学院文化学研究科博士課程単位取得退学、博士(学術)。地域社会学、宗教社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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