塩野義、飲み薬の最終段階の治験で効果を確認

塩野義製薬の新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」(同社提供)
塩野義製薬の新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」(同社提供)

新型コロナウイルスの飲み薬「ゾコーバ」を開発する塩野義製薬は28日、最終段階の臨床試験(治験)で効果を確認できたという解析速報を公表した。オミクロン株に特徴的な症状の消失までの時間が偽薬投与群に比べて短いことが確認できたという。事前に目標に設定していた主要評価項目を達成することになり、同社は厚生労働省への承認申請に向けて審査機関との協議を進める。

最終段階の治験は今年2月から7月まで、日本や韓国、ベトナムで12歳から70歳未満の患者1821人を対象に実施し、薬を服用するグループと偽薬のグループを比較。主な解析対象者約千人での有効性は、症状消失までの時間が、偽薬投与群に比べて短いことが統計的有意差をもって確認できた。

同社によると、症状改善を示した治験結果としては世界で初めて。安全性については重大な有害事象はなかったという。

塩野義はこれまで、中間段階の治験の結果を用いて日本国内での緊急承認制度の活用を目指してきたが、厚労省が7月に開いた専門家による会議で承認は見送られ、継続審議となっている。中間段階の治験では、設定していた目標の一つであるコロナに特徴的な12症状すべての改善が確認できなかった。新型コロナは株によって症状の出方が異なることから、最終段階の治験では、症状改善効果を評価するのではなく、症状消失までの時間を比較する目標設定をしていた。

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