夕暮れのフクロウ

―――すべての理論は灰色で、生命は緑なす樹。ヘーゲル概念論の研究のために―――(赤尾秀一の研究ブログ)

ヘーゲル『哲学入門』序論 十一[意志と恣意]

2019年06月04日 | ヘーゲル『哲学入門』

 


§ 11[意志と恣意]

Der Wille kann zwar mancherlei äußerlichen d. h. nicht aus sei­nem Wesen hervorgehenden Inhalt in sich aufnehmen und zum seinigen machen. Insofern bleibt er nur der Form nach sich ; gleich, nämlich, dass er sich bewusst ist, von jedem Inhalt so­gleich wieder abstrahieren und seine Reinheit wiederherstellen zu können, nicht aber dem Inhalt und Wesen nach. Er ist /inso­fern/ überhaupt nur /Willkür./(※ 1)

意志は確かに、多くの外にある、すなわち、意志の本質からもたらされたのではない内容を、自らのうちに取り入れて、そして、意志自身のものにすることができる。
意志がただ形式においてだけ自己同一性を保つかぎり、同じく、すなわち、意志は自らを意識して、すべての内容を、同時に、再び捨象して、そして意志の純粋さを回復することができる。しかし、それは内容と本質によるのではない。意志は、/そのようなものであるかぎり/一般的にただ/恣意/にすぎない。

※1
意志は意志の本質からもたらされたものでない内容、たとえば、不倫や殺人などの「悪」をも、意識して自らの意志とすることができる。またそれを実行することなく、その意志を捨て去って、もとの白紙へと意志の純粋さを回復することもできる。しかし、内容と本質からそのようにするのでないかぎり、一般的にはその意志は恣意といわれるものにすぎない。

 

 

 

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