内容説明
伝統と近代を止揚した、参加型住民自治の実現に向けて―。1990年代頃、宝塚市では市民と行政の協働した「まちづくり協議会」などを通じた、住民参加型の地域自治システムが確立・機能していた。しかし、2000年代半ばの市長交代を機に上意下達の命令系統を有する復古主義的な政策に転換したことで、市の政治運営は混乱に陥った。宝塚市政に37年にわたり携わった著者が、宝塚市(民)が直面した葛藤についての詳細なプロセス分析を通し、これからの地域自治に必要な、民主主義的な市民自治のあり方を指し示す。
目次
序章 コミュニティ自治と権力構造論の考え方―宝塚市のコミュニティ政策と権力構造論(進展と急転縮小の25年;権力構造と統治;日本の地域伝統と民主主義の潮流)
第1章 地域の歴史的構造と自治課題(ムラの自治と歴史的構造;都市化と地域自治の歴史的構造;落差ある地方自治と展望への道筋;まとめ:平等参加・住民自治構造への方向性)
第2章 宝塚市コミュニティ政策の変遷(宝塚の地域史と自治会;宝塚市まちづくり協議会政策の進展(1993~2007年)
市長交代と復古政策、混乱・激論8年(2006年以降)
まとめ)
第3章 地域を統治するのは誰か(複眼的協調と平等参加の確立;調査専門委員報告「住民自治組織のあり方」;まとめ:平等参加理念と現実的な解決策)
第4章 都市圏、多元主体参加の自立型権力構造(参加市民のエネルギー;透明性と自治力アップの構造へ;まとめ:「日本の都市の地域自治」展望)
著者等紹介
田中義岳[タナカヨシタケ]
1969年関西学院大学社会学部卒業。1969~2006年、宝塚市職員。宝塚市まちづくり推進担当部長、社会教育部長を歴任。2000年度地域自治会とボランタリーアソシエーション協調方式による市民参加型のコミュニティづくりの成果による宝塚市の自治大臣賞受賞時の担当。退職後~2012年、帝塚山大学非常勤講師、地域活性化センター講師、(公財)阪神北広域救急医療財団常務理事。2006年~現在、コミュニティ政策学会理事。2016年~鳥越晧之氏に師事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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