新閣僚に聞く

原発の新増設は「想定せず」 萩生田経産相

インタビューに答える萩生田経産相
インタビューに答える萩生田経産相

--2050年脱炭素に向けて原発の新増設、リプレース(建て替え)を検討し、次期エネルギー基本計画に盛り込む可能性はあるか

「安定かつ安価な電力供給や気候変動問題の対応を考えれば、安全確保を大前提とした上で原子力を利用することは欠かせない。今後、地元の理解を得ながら安全最優先の再稼働を進めていくとともに、将来を見据えて安全性の向上に向けた研究開発や人材育成にしっかりと取り組んでいきたい」

「原発の新増設、リプレースは想定していないのが政府方針であり、現時点で(その考えに)変更はない。エネ基については、10月末に始まる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)までに閣議決定をしたい」

--40年超、60年超の原発活用をどう考えるか

「原子炉等規制法では運転期間40年、一回限りで最大20年の運転延長を認めており、制度にのっとって、原子力規制委員会による厳格な審査の結果、運転延長が認められた場合には政府としてその判断を尊重する姿勢をとりたい。(80年への延長を認めるなど)60年超の原発の安全性に関する考え方は、経産相としてのコメントは控えたい」

--経済安全保障に関連し、半導体製造の基盤構築や供給網の強化をどう進める

「半導体はいまやあらゆる産業に必要な『産業のコメ』と理解している。経済安保の観点も踏まえてサプライチェーン(供給網)を強靱(きょうじん)化するとともに、日本の産業競争力強化のためには、欧米など他国に匹敵する規模で国内の半導体製造基盤強化に取り組むことが重要だ。今年6月に閣議決定した成長戦略実行計画に基づき、先端半導体の生産拠点の日本への立地をしっかり推進したい。現段階で他国の予算規模と一律に比較して、数兆円ないといけないという話ではなく、どこに、どういう形で作り、生産率を高めていくかを考えた上で予算措置をしたい」

--コロナ禍での中小事業者向けの経済対策として、無利子無担保融資制度や持続化給付金の再給付をどうするか

「緊急事態宣言は解除されたが、社会経済活動の再開は道半ばで、今後も新型コロナにより困難な状況にある事業者をしっかりと支えていくことが重要と考えている。金融支援については、政府系金融機関による実質無利子無担保融資を当面、年末まで継続する予定で、資金繰りに万全を期したい。給付金は、新型コロナの感染状況や、中小企業を取り巻く経済環境をよく見ながら、総理と相談しながら進めていきたい」

(那須慎一)

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