小山田浩子の本棚掘り

　本書は「わたし」が偶然出会った個性的で軽やかな「喜和子さん」の人生の謎を追う物語と、ユーモラスに語られる上野の帝国図書館（現国際子...

　先日、翻訳家の栗原俊秀氏と広島蔦屋書店でトークイベントをした。当日は栗原氏が何冊も訳しておられるイタリア系アメリカ人作家ジョン・フ...

［小山田浩子の本棚掘り］広島市在住の芥川賞作家小山田浩子さんが、自宅の本棚から掘り出したお薦め本を紹介します。今回は、パレスチナ生まれの小説家による優れた小説集。

　表題作は第111回芥川賞受賞作だ。「私」は生家の古い農家の2階でノートを発見する。それはロシア語で書かれているが内容は日本語、つま...

　1ページの短い漫画や数話連続する漫画、日記や随筆などの文章も収録された作品集だ。表題作「おむすびの転がる町」は、町の中におむすびが...

　パレスチナのことについて、筆者がさまざまな地域を訪れた記憶を書いたエッセイ、出会った一人一人の声や思いが語られる。大国の三枚舌外交...

　2020年刊の単行本がこの秋に文庫化された。登場人物が重なる3作が収録されている。描かれるのは発熱が続くが仕事を休めない男性が解熱...

　忙しく気もそぞろで読書に耽(ふけ)る余裕はなく、でも少しなにか読んで気分を変えたい、そんなとき私は料理やお菓子の本を読む、実用的な...

　イラクのサダム・フセイン、ウガンダのイディ・アミン、アルバニアのエンヴェル・ホッジャ、キューバのフィデル・カストロ、カンボジアのポ...

　大学進学で東京にやってきた桃子は、母親の妹である小説家のおばさんの家に母親の強引な差配でもって同居することになる。本書は桃子が19...

　本書はグラフィック・ノベル(芸術性が重視される、どちらかというと大人向けの漫画作品)として世界的に高く評価されるイタリアの作者の初...

　ド・セルビィなる人物の研究に傾倒する語り手の青年は、ようやっと書き上げた「ド・セルビィ研究目録」の出版費用欲しさに裕福な老人を殴っ...

　2016年、広島市現代美術館の企画展で、ネオ漫画として国内外で高く評価されているという横山裕一の作品を見て驚いて好きになった。通常...

　英国で出版されたトランスジェンダーつまり出生時に割り振られた性と性自認が一致しない人々、をめぐる問題についての本だ。多くの引用や参...

　ふくやま文学館へ行った。3月5日まで「没後二十年　日野啓三展」を開催中で、常設展示では福山ゆかりの文学者の資料を見ることができる。...

　「トーベ・ヤンソンをムーミンの作者としか見ていない人がいるなら、ちょっともったいないと思う」（本書「まえがき」）。トーベ・ヤンソン...

　2010年「乙女の密告」で芥川賞を受賞し17年に逝去した小説家のエッセイ集だ。今年一番笑った本かもしれない。...

　前回、原爆供養塔を長年守り、原爆死没者の遺骨が遺族の元へ届くよう奔走し証言活動にも注力してこられた佐伯敏子氏の証言集「原爆納骨安置...

　佐伯敏子氏は実母や義父母ら多くの親族を原爆で喪（うしな）う。戦後、佐伯氏はラジオで義母の名前が呼ばれるのを聞く。それは原爆死没者遺...

　画家の湯浅は外国から久々に妻子の待つ日本に帰ってほどなく、エキセントリックな令嬢・高尾に熱烈に誘われ及び腰ながらホテルへ行ってしま...