「電力難民」企業が続出 燃料高騰で新電力撤退、大手も契約停止 安全網「最終保障」利用1年で100倍に

2022年10月27日 06時00分
 新電力会社の事業撤退や、大手電力会社による契約受け付け停止を受け、電気の契約先を失った企業が利用する「最終保障供給」の契約件数が高止まりしている。ウクライナ危機や円安進行を背景としたエネルギー価格の高騰を受け、その件数は昨年10月の445件から1年で約100倍の4万5222件となっている。(砂本紅年)
 大手電力の多くが企業向け標準的な電気料金で、新規契約の受け付けを停止しているのは、採算が合わないためだ。電力の電力の調達コストが販売価格を上回り、売れば売るほど赤字となる逆ざやに陥っていた。
 新たな契約先を見つけられない企業は「電力難民」とも呼ばれる。これらの企業に対し、電気を供給する大手送配電会社の制度である「最終保障供給」の契約件数が急増した。
 大手電力は標準メニューに電力市場での価格変動を調整する仕組みを入れ、受け付けを再開する予定だ。東京電力エナジーパートナー(EP)は今月24日から申し込みを受け付け、来年4月から契約を適用。料金は12〜14%の値上げを見込む。最終保障供給の料金が標準メニューを下回らないよう見直されたため、初日だけで約3500件と、申し込みが殺到している。

東京電力エナジーパートナーのホームページ。24日受け付け再開の初日から「想定の上限量に近づいている」とのアナウンスが掲載された 。

 東電EPに先行して7月末から標準メニューの申し込みを再開した東北電力では「申し込みが多く、電力確保が難しくなった」として、わずか2カ月後に受け付けを再停止した。東電EPも想定に達した時点で、締め切りの11月末を待たずに受け付けを終了する。
 企業向け電力小売りでは2000〜05年に自由化が徐々に拡大され、電力会社の裁量で電力会社の裁量で決められる自由料金となっている。
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