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【ワシントン=田島大志、ベルリン=石崎伸生】米国のバイデン大統領は19日、オンライン形式で開かれたミュンヘン安全保障会議の特別会合で演説し、トランプ前政権の外交路線を転換し、同盟関係を重視する方針を示した。米欧主導の国際秩序に挑戦する中国への備えも呼びかけた。演説に先だって行われた先進7か国(G7)首脳によるテレビ会議では、多国間主義の重要性が確認された。
バイデン氏は「米欧の協力は21世紀に成し遂げる全ての事柄の礎でなければならない」と述べ、トランプ前政権下で冷え込んだ欧州との関係の立て直しを図る考えを示した。「米国は同盟を活性化する外交を主導し軍事力を近代化する」とも語った。
また、対中政策について「我々は中国との長期的な戦略的競争に向け準備しなければならない。米国、欧州、アジアが協力して平和や共通の価値観を守ることが重要だ」と強調し、同盟国に協調を呼びかけた。
バイデン氏は、トランプ前政権が離脱したイラン核合意への復帰に向け、英仏独露中との協議に戻る用意も表明した。
欧州の首脳も演説し、バイデン氏が米欧関係や国際協調を重視する方針を表明したことを歓迎した。メルケル独首相は「欧米関係の新たな一章に向けて準備ができている」と、関係修復への意欲を示した。マクロン仏大統領も「我々は(米国の)信用できるパートナーにならなければならない」などと述べた。
ミュンヘン安保会議に先立ち、バイデン氏はG7首脳のテレビ会議に出席し、新型コロナウイルス対策やワクチンの分配、気候変動問題で多国間協調を推進する必要性を訴えた。