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日本の防衛白書によると、中国は国防予算を1992年度から30年間で約39倍に増やし、軍事力を大幅に強化している。世界一の軍事力を誇る米国に迫る勢いで、日中が国交を正常化した50年前とは、日米中3か国の安全保障のパワーバランスも劇的に変化した。日本政府は防衛力を抜本的に強化し、日米の抑止力と対処力を向上させる方針だ。
各国の国防費を正確に比較することは難しいが、防衛省が、公表された主要国の国防費を購買力平価を用いてドル換算で比較している。それによると、日本の防衛費は98年度頃、中国の国防費とほぼ同規模だったが、その差は年々拡大し、2022年度は中国が日本の6倍以上となり、米国の約半分に迫っている。
1998年度から2022年度の伸び率は、中国の10・7倍に対し、米国が2・9倍、日本は1・8倍にとどまる。
中国軍の中距離弾道ミサイルや極超音速ミサイルなど一部の能力は、すでに米軍を上回っているとも言われている。このほか、人工知能(AI)を搭載した無人機の開発や訓練など、先端技術の軍事への導入も積極的に進めている。
懸念されるのは、中国による台湾や尖閣諸島(沖縄県)などへの軍事侵攻だ。米国のハリス副大統領は26日、岸田首相との会談で、「日本が脅威にさらされた時は、同盟国と立ち上がる準備がある」と述べ、日本を支援する考えを示した。
日本の防衛費は、長らく対国内総生産(GDP)比1%以内に抑えられてきた。政府・与党は、北大西洋条約機構(NATO)諸国が目標とするGDP比2%以上を念頭に、防衛費の大幅な増額を検討している。