内容説明
本書は、「見られているが気づかれていない」人間の様々な所作の意味を浮かび上がらせるビデオ・エスノグラフィーという新たな手法に基づく実証的研究である。重度障害を抱えた在宅療養者と介護者や専門家といった人びととの相互行為、そして、モノが意義をもつ相互行為を撮影したビデオデータを通して、当事者に気づかれていない関係性や問題点を捉える。場面場面で多様な指向性を持つ当事者の「意識」と「身体」の関係を捉えた、人間の多様な領域にも応用できる身体論の画期的な新機軸。社会学や心理学を学ぶ人、福祉や医療に携わる人のための良書。
目次
社会学的身体論の系譜―ミード、メルロ=ポンティ、クロスリー
第1部 相互行為、身体論、ビデオ・エスノグラフィー(相互行為とビデオ・エスノグラフィーという手法;社交の空間―相互行為の身体空間;相互行為と残されるモノ;音楽療法という相互行為)
第2部 相互行為と他者への配慮―主体的身体をめぐって(場面に参与する身体;トラブルを修復する身体;カラオケ場面の相互行為秩序)
第3部 意識と主体の変容と修復―没意識的なまなざしの問題(ジェンダー化される身体;声のコミュニケーションと手のコミュニケーション;ディスコミュニケーション;本書から見えてきたこと―意識としての身体)
著者等紹介
堀田裕子[ホッタユウコ]
1974年岐阜県生まれ。東京外国語大学卒業後、名古屋大学大学院国際開発研究科にて修士(学術)、同大学大学院人間情報学研究科にて博士(学術)の学位を取得。専門社会調査士。現在、愛知学泉大学現代マネジメント学部教授。専門は身体の社会学(社会学的身体論)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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