内容説明
世界最大のムスリム人口を擁するインドネシア。その人口規模や島国という国家特性が故、国民統合を目指す教育の重要性は極めて高い。本書は、従来はローカルに営まれてきたイスラームの規範やクルアーンの読誦方法を学ぶイスラーム基礎学習―プンガジアン・クルアーン―が、学習テキスト『イクロ』の創案・普及によって、ナショナルなものへと再構築されていく経緯を明らかにする。20世紀末からイスラーム復興運動の潮流の中、イスラーム教育が国民教育体系に組み込まれ組織化・標準化されていく事例について、綿密なフィールドワークから描く!
目次
第1部 ジョグジャカルタにおけるイスラーム教育の改革(20世紀以降のイスラーム学習の伝統と改革;独立後のジョグジャカルタにおけるモスク創設と学生)
第2部 クルアーン読誦学習テキスト『イクロ』創案の経緯(ジョグジャカルタから開始したプンガジアン・クルアーンの組織的運営における若者たちの関与;『イクロ』創案の経緯と活用方法―『キロアティ』との比較から)
第3部 プンガジアン・クルアーンの標準モデル構築とその経緯(BKPRMIによるクルアーン学習施設の全国展開の経緯;クルアーン学習施設の開設に伴うモスクでの学習活動の変容;クルアーン学習施設における学習指導と運営の標準モデル構築へ)
イスラーム基礎学習の組織的展開とその影響
資料編
著者等紹介
中田有紀[ナカタユキ]
1974年、東京都生まれ。博士(教育学)。玉川大学文学部教育学科、筑波大学大学院教育学研究科を経て、名古屋大学大学院教育発達科学研究科単位取得後退学。2020年、名古屋大学より博士(教育学)取得。現在、東洋大学アジア文化研究所客員研究員、立教大学兼任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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