関西の議論

福祉スルー〝漂流民〟の駆け込み寺 キャバクラ無料案内所…家出、出所「ワケあり」が救い求めて

【関西の議論】福祉スルー〝漂流民〟の駆け込み寺 キャバクラ無料案内所…家出、出所「ワケあり」が救い求めて
【関西の議論】福祉スルー〝漂流民〟の駆け込み寺 キャバクラ無料案内所…家出、出所「ワケあり」が救い求めて
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 大阪を代表する繁華街・ミナミ。居酒屋から風俗店まで多種多様な店のネオンで彩られる街には、日銭にさえ困り、あてもなく仕事を求めてやって来る人たちがいる。繁華街にはぼったくり店や違法風俗店など「闇」はつきもので、一歩間違えれば犯罪に巻き込まれかねない。そんな危険をかえりみず、彼らはなぜミナミにすがりつくのか。キャバクラなどを紹介する「無料案内所」のある店舗は、そんな〝漂流民〟たちに住居と仕事を与えている。家出や前科の過去など事情はさまざまだが、所持金が尽きても公的機関に足を伸ばさず、案内所に駆け込む人たち。現代日本の福祉ではカバーしきれない「社会の隙間」が垣間見える。

「帰りたくない」彼女と即家出

 忘年会の酔客でミナミがにぎわう昨年12月下旬、小山健志さん(21)=仮名=は彼女(20)を引き連れ、無料案内所にやってきた。2人の所持金は100円を切っていた。

 昨年9月末に関東地方の実家から家出し、大阪を転々としていた2人。案内所を訪れた際には身分証すら持っていなかった。店側が住民票を取り寄せた上で小山さんを採用した。

 案内所が提供する寮の部屋は広さ3畳ほどだが、彼女と2人で一つの部屋で暮らす。働いているのは小山さんのみで、2人分の生活費を稼いでいる。

 案内所で働き始めるまでの約3カ月間は、お互いの両親と連絡を絶っていた。今は親と連絡をとりながら、実家に戻るか、このまま大阪でしばらく働くか模索している。

 家出するまで小山さんは千葉県に、彼女は神奈川県に住んでいた。約1年前にツイッターで知り合ったが、直接会うことはほとんどなく、主に無料通信アプリ「LINE(ライン)」で連絡をとりあっていた。

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