内容説明
今また、ジョン・デューイへの関心が集まっている。デューイといえば、進歩主義教育、プラグマティズムの理論家として知られているが、その「経験」の概念の本態が、形而上学的、存在論的であることは、あまり知られていない。戦後70年、日本社会は市場化、情報化、グローバル化を遂げてきたが、そうした中でこそ、デューイの人間的な「経験」の本態は、人が人として生きるための礎として、改めて捉え直されるだろう。
目次
教育哲学のデューイへ―「経験の再構成」とは何か
デューイ思考教育論の実践―ホーレスマン・スクールにおける実験の成果と課題
教育と民主主義の再建のために―現代社会の危機とデューイの学習思想
デューイにおける「経験の分有」の思考―目的合理性と合一的共同性を超えて
文化的自然主義の教育思想
「成長」の教育思想を支える経験と自然の一元的多元性―デューイ自然主義における質概念への着目から
デューイの芸術論にみる、一でありかつ多であること―ベルクソンとジェイムズへの言及をてがかりに
デューイとアダムズにおける「劇化」の教育思想
科学技術の倫理とコモン・マンのデモクラシー―デューイの教育思想からグローバル化時代の「公衆」論へ
デューイの知性論についての考察―「知性的」な思考についての自然主義的アプローチ
デューイのエマソンとは誰か
デューイのコミュニケーション概念
連関する二つの経験―デューイとともに教育を哲学する
著者等紹介
田中智志[タナカサトシ]
専攻:教育学(教育思想史・教育臨床学)/現職:東京大学大学院教育学研究科教授。1958年、山口県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科教育学専攻博士後期課程単位取得満期退学。博士(教育学)東京大学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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