水素・アンモニア普及へ新法、経産省検討 利用拡大促す
経済産業省は燃やしても二酸化炭素(CO2)を出さない水素やアンモニアの普及に向け、新法を制定する検討に入った。生産や供給を担う企業に支援策を講じて利用拡大を促す。生産過程でもCO2を排出しない水素やアンモニアへの絞り込みを狙った規制の導入も見すえ、化石燃料からの転換を進める。
2023年度の国会への法案提出をめざす。松野博一官房長官は21日の記者会見で「規制と支援一体型での制度の準備を早期に進める方針だ」と述べた。
水素やアンモニアは天然ガスや石炭の代わりに火力発電所や船舶で燃料に使う。いまはコストが高いため、経産省は供給企業を対象に原則15年間にわたって支援する。既存の化石燃料との価格差を埋め合わせるように補助し、需要拡大につなげる。
海外からの輸入を想定し、今後10年で貯蔵タンクといったインフラ拠点を国内に8カ所ほど整備する。30年ごろまでに供給体制の構築をめざす。
水素やアンモニアは化石燃料を原料につくると、生産過程でCO2を排出する。CO2を地下に貯留して排出量を実質ゼロにするか、再生可能エネルギーを用いて水を分解して生産するといった対応が求められる。環境負荷が低い水素やアンモニアの利用を促す規制も検討する。
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