内容説明
地球は、本来的に現存在へと開放されたものである。しかし、近代における科学技術の発展は、地球を道具的なものと捉え、その環境を破壊し、動物の住処を奪い、人工的な物質の豊かさの一方で人の生活を「非詩的」なものに陥れている―。ハイデガーの思索を辿り地球における「詩的に人間の住まう」ことについて哲学的再考をうながす本書は、今日のすべてのものを数量化して測る現代社会に対して新たな視座を提供するだろう。
目次
第1部 地球を思う(罪という管理テクノロジー:ハイデガー的反省への呼びかけ;ハイデガーとエコロジー;地球―思考と変革;地球を歌う;地球の呼び掛け:贈り物と(遅れてくる)応答)
第2部 動物と世界(「沈黙の春」という言葉:動物性と言語の起源に関するハイデガーとハーダー;「世界映像の時代」における環境管理;存在の羊飼いとしての人間:ハイデガーの哲学と他者としての動物)
第3部 詩作と住まうこと(建設を思索し詩作する路:地球上の人間の不気味さ;何も起こらないところで:ハイデガーとアレラノの詩的空間について;出会いの場所;「Ereignisを食す、あるいは、郊外の芝生での会話」;日常的な謎)
著者等紹介
長谷敏夫[ハセトシオ]
東京国際大学国際関係学部教授で環境政策を教えた(2019年3月退職)。国際環境法、環境政策、環境保護運動を専門とする。1973年ICU行政大学院卒業。原子力発電所事故、電磁波、遺伝子組み換えなど科学技術の諸問題を研究している
佐賀啓男[サガヒロオ]
元メディア教育開発センター教授、江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授を歴任。教育メディア研究、近世文学を専門とする。2014年、65才で死去
比奈地康晴[ヒナチヤスハル]
元埼玉大学国際交流センター、日本語教育センター准教授。財団法人ユネスコ・アジア文化センターにおいて、アジア太平洋地域との文化交流事業にも従事。その間に国立教育(政策)研究所で研究協力員も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。