現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 世の中には数多のクルマがあるのにナゼ? タクシーに「トヨタ車ばかり」が選ばれるワケ

ここから本文です

世の中には数多のクルマがあるのにナゼ? タクシーに「トヨタ車ばかり」が選ばれるワケ

掲載 更新 56
世の中には数多のクルマがあるのにナゼ? タクシーに「トヨタ車ばかり」が選ばれるワケ

 タクシードライバーがクラウンを懇願することも

 日産はNV200タクシーの生産を終了し、日本国内でのタクシー専用車(営業車)はトヨタJPNタクシーのみとなった。法人タクシーはクラウンセダンやクラウンコンフォート、Y31セドリック、NV200タクシーなどから順次JPNタクシーに入れ替えるかと思いきや、なかなか“日本全国JPNタクシー化”は進んでいない。

利用者からの不満が噴出! トヨタがJPNタクシーの車いす乗降機能を改良

 本来ならば、そろそろ発売直後に導入した、おもに東京都内の大手事業者で使っているJPNタクシーが入れ替えで中古車市場に放出され、それを地方のタクシー会社が購入して“JPNタクシー化”を進めるといったプランだったのだが、新型コロナウイルス感染拡大により、タクシー需要の低迷がタクシー事業者を直撃。車両については稼働日数が極端に少なくなり、東京隣接県のタクシーでも年間で1万kmほど走行距離が減ったとの声も聞いている。そのため、車両の入れ替え次期を先延ばしにする動きが目立っているのである。

 そのようなかでも、相変わらず“アンチJPNタクシー派”事業者も多く、中古車で良質なクラウンセダンやクラウンコンフォートが奪い合いとなっている。

 ここまでは、ざっとタクシー業界の近況をお伝えしたが、法人タクシーは事実上JPNタクシーのみとなっているものの、法人タクシーの一部や個人タクシーではバラエティに富んだタクシー車両が使われている。それでもトヨタ車が多いのはなぜだろうか?

 まず個人タクシーで圧倒的に多いのがクラウンコンフォートやコンフォートベースのクラウンセダンではない、一般ユーザー向けのクラウン。法人タクシーでもハイヤー部門のある事業者では、ハイヤーで使ったあとにタクシーとして使用されることが多い。

 かつてのクラウンセダンベースのタクシー(コンフォートベースではない)や、クラウンコンフォートは“走行距離50万kmまではメンテナンスフリー”ともいわれた、オイルなどの油脂類交換などはもちろん頻繁に行わなければならないが、50万km以内なら致命的な故障がまず発生しないということになるようだ。

 かつてY31セドリックタクシーに乗務していたA氏によると、「あくまで私の経験ですが、走行距離が15万kmぐらいになると、ミッション(AT)が滑り出す車両が目立ちました。また、20万kmぐらいから計器盤などの照明ランプ切れが起きます。最初は空調操作部分から始まり、さらに計器盤の半分が切れ、全部切れてしまう車両もありました。夜間の運転ではスピードメーターが良く見えない車両も多く、勘で走っていました。シートもすぐに座面がペシャンコになるので、座布団などを敷かないと、帰ってきた時にしばらく歩けないこともありました」とのこと。A氏の勤務先ではY31のみだったので、クラウンコンフォートに替えて欲しいという声も多かったとのこと。

 メンテナンスのしやすさもクラウンが選ばれる理由

 クラウンセダンやクラウンコンフォートの“50万kmメンテナンスフリー”に対し、一般向けのクラウンも個人タクシーやハイヤー、企業の役員送迎需要があるので、「走行距離30万kmまでは手間がかからず乗れるように」と設計されているといわれている。そのため、耐久性という観点でタクシー専用車に近いクラウンが選ばれるのである。

 また、タクシーとして使用している場合、たとえば誤って自損事故でドアに損害を与えてしまったとしても、新品のドアパネルに交換ということはまずしない、ドア以外でもリビルトパーツを使い、コスト削減や修理時間の短縮(新品は取り寄せなどで時間かかりやすい)をはかるのである。そうなると、タクシーとして多く使われているクルマの方ほうが、リビルトパーツも豊富に出まわっているので、便利ということもあるのだ。

 最近の新車ではヘッドライトがLED化されていたりするが、かつてハロゲン球や、リヤコンビランプは電球が主流だったころは、球切れが起きたら自分たちで交換しなければならなかった。その時の整備性などもタクシー車両として需要の多いクラウンでは、意識的に自家整備がしやすくなっていた。

 つまり、長い間日本のタクシーのメイン車種として君臨していたクラウンにタクシー業界としては絶大な信頼を持っているのである。また、JPNタクシーをいまでもラインアップしているというのも大きい。つまり、タクシー業界とのパイプがいまもつながっているということである(タクシー車両の販売についてのノウハウが豊富)。

 いまどきのメルセデス・ベンツ セダンは、中国市場をかなり意識し、最新型では乗り味やシートは昔に比べればソフトな印象を受けるが、少し前にEクラスのタクシーに乗った時に、「ベンツだと運転もラクでいいんじゃないですか」と聞くと、「ロング(長距離利用)のお客様を乗せ、高速道路を走った時はやはりいいですねえ。しかし、都内の一般道路を走っていると足まわりが“硬い”印象を強く受けますね。その点ではクラウンは日本の道路にあった足まわりにしていると改めて感じます」と話してくれた。60年近く日本のタクシー車両の代表として君臨してきたのは伊達ではないのだ。

 そして、このクラウンの存在があるからこそ、実態はともかくとしても、トヨタ車全体へのドライバーの信頼感が厚く、もちろんディーラーのタクシー車両販売へのバックアップも充実していることもあり、クラウン以外のトヨタ車もタクシー車両として選ばれやすくなっているのではなかろうか。

こんな記事も読まれています

スズキのコンパクトSUV「エスクード」国内販売が終了 新たな「グローバルSUV」投入に期待!
スズキのコンパクトSUV「エスクード」国内販売が終了 新たな「グローバルSUV」投入に期待!
くるまのニュース
スタイリッシュなスタイルと折りたたみ機構を採用 電動アシスト自転車「Refna WINDY」発売
スタイリッシュなスタイルと折りたたみ機構を採用 電動アシスト自転車「Refna WINDY」発売
バイクのニュース
アルファロメオ ジュリア/ステルヴィオ、限定車「ヴェローチェ スペリオーレ」発売
アルファロメオ ジュリア/ステルヴィオ、限定車「ヴェローチェ スペリオーレ」発売
レスポンス
GWにホンダ青山本社で「モーターサイクルショー」開催、新型車をじっくり見られる機会!
GWにホンダ青山本社で「モーターサイクルショー」開催、新型車をじっくり見られる機会!
モーサイ
ホンダN-VANがマイナーチェンジ。特別仕様車FUN「STYLE+ NATURE」を同時発売
ホンダN-VANがマイナーチェンジ。特別仕様車FUN「STYLE+ NATURE」を同時発売
カー・アンド・ドライバー
ランボルギーニの電動化第二弾は「ウルス」!フェイスリフトでPHEVになったウルスの全情報!
ランボルギーニの電動化第二弾は「ウルス」!フェイスリフトでPHEVになったウルスの全情報!
AutoBild Japan
トヨタが「新型モデル」世界初公開! クロスオーバー&SUV 2台同時に! 25年半ばまでに発売!? 「bZ3C」と「bZ3X」中国で登場
トヨタが「新型モデル」世界初公開! クロスオーバー&SUV 2台同時に! 25年半ばまでに発売!? 「bZ3C」と「bZ3X」中国で登場
くるまのニュース
フォーミュラEの改良型マシン『GEN3 EVO』が初公開。4輪駆動化と超高速充電対応で2025年デビュー
フォーミュラEの改良型マシン『GEN3 EVO』が初公開。4輪駆動化と超高速充電対応で2025年デビュー
AUTOSPORT web
フォルクスワーゲンが次世代大型電動SUV『ID.CODE』を発表
フォルクスワーゲンが次世代大型電動SUV『ID.CODE』を発表
レスポンス
ホンダ ヴェゼルをマイナーチェンジし新グレードも設定
ホンダ ヴェゼルをマイナーチェンジし新グレードも設定
Auto Prove
最近、スズキのデザインが尖ってきたワケ「キーワードはGSX-R DNAとプラットフォーム」
最近、スズキのデザインが尖ってきたワケ「キーワードはGSX-R DNAとプラットフォーム」
モーサイ
鉄道はあれど重い荷物にはバスのほうがラクだが……運休!? 空港行きの高速バスで2024年問題を痛感した!
鉄道はあれど重い荷物にはバスのほうがラクだが……運休!? 空港行きの高速バスで2024年問題を痛感した!
WEB CARTOP
全長5m超えのトヨタ「大型バン」登場! 斬新“観音ドア&縦4灯テール”採用!? 特許庁が「新ハイエース」公表、反響は?
全長5m超えのトヨタ「大型バン」登場! 斬新“観音ドア&縦4灯テール”採用!? 特許庁が「新ハイエース」公表、反響は?
くるまのニュース
これ全部ベスパ!? 1万5000台による大パレードが行われたベスパワールドデイズ2024
これ全部ベスパ!? 1万5000台による大パレードが行われたベスパワールドデイズ2024
バイクのニュース
[カーオーディオ 逸品探究]実力ブランド「モレル」の最新ハイエンド機『イレイト カーボン』の魅力に迫る!
[カーオーディオ 逸品探究]実力ブランド「モレル」の最新ハイエンド機『イレイト カーボン』の魅力に迫る!
レスポンス
7代目フォルクスワーゲン パサートは中身の濃い変更が行われていた【10年ひと昔の新車】
7代目フォルクスワーゲン パサートは中身の濃い変更が行われていた【10年ひと昔の新車】
Webモーターマガジン
決算期3月は乗用車全セグメントで前年実績割れ!SUVマーケットはどうなっている?(24年3月の軽自動車を含むSUV車販売登録ランキングTOP20)
決算期3月は乗用車全セグメントで前年実績割れ!SUVマーケットはどうなっている?(24年3月の軽自動車を含むSUV車販売登録ランキングTOP20)
カー・アンド・ドライバー
ホンダが新型「5ドアスポーツクーペ」を世界初公開! 流麗デザイン×斬新ハンドル採用! 25年内に登場予定の新型「GT コンセプト」 北京で初披露
ホンダが新型「5ドアスポーツクーペ」を世界初公開! 流麗デザイン×斬新ハンドル採用! 25年内に登場予定の新型「GT コンセプト」 北京で初披露
くるまのニュース

みんなのコメント

56件
  • 他のメーカーがタクシーに合う車を作ってないからでしょ?
  • 耐久性があってメンテナンスがしやすい。
    これができなかったあの会社は沈んでいった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村