東京や大阪の温度は上昇中・100年以上の推移で比較してみる
東京は130年あまりで2度上昇
地球温暖化という大きな規模の話でなくとも、都市近郊部に在住する人は多分に、夏の温度が上昇しつつあるとの印象を持つという。ではその感覚の通り、気温は上昇しているのだろうか。気象庁の公開データを基に確認をしていく。
次に示すのは東京における夏場7月と8月、冬場の12月とその翌年の1月における、月次平均気温の推移。
「子供の頃の温度など覚えていない。しかし少しは上昇しているかもしれない」という感はあれど、実際に温度の上昇ぶりを確認すると、改めて驚かされる。無論これは単純に気温そのものの全体的な上昇によるものだけでなく、観測地点の東京(千代田区大手町 東京管区気象台。以下地名は各地名における気象台を指す)周辺の開発進行に伴い、ヒートアイランド現象による影響力が強くなったのも多分に考えられる。どれか一つの要因のみでなく、複数の要因が積み重なった結果に違いないが、ともあれ東京ではこの130年あまりの間に、夏は平均で2度強、冬は約4度ほど平均気温が上昇していることになる。
大阪では東京よりやや穏やかだが上昇中
大阪の状況も東京とほぼ変わらず。夏は2度ほど、冬は3度前後と、東京よりもいずれも抑え気味だが、平均気温は上昇している。上昇分の違いは、都市開発の度合いがそのまま反映されているのかもしれない。
いずれにせよ、ある程度の起伏を経ながら平均気温が上昇していることは確かである。
札幌も平均気温は上昇中
最後は北部地域として札幌を挙げる。
東京・大阪と比べて穏やかではあるが、明らかに上昇していることに違いはない。
気温上昇は都心部の話、かもしれない
これら東京・大阪・札幌の状況を見るに、都市開発状況で差は生じるが、押し並べて気温の上昇が確認できる。しかしその気温上昇が、日本、さらには地球の全体的な気温の上昇に伴うものなのか、それともヒートアイランド現象や、人口の密集化・人口建造物の増加に伴うエネルギー放出の増加など他の要因によるものなのかまでは特定できない。
ちなみに「都市圏以外」の例として、北海道・網走の動向をグラフ化したのが次の図。観測データの都合で1890年以降のものしかないが、大よその状況は把握できる。変移が分かりやすいように、近似曲線も併記した。
ほとんど上昇がみられない。120年余りの間で大よそ0.5度程度の上昇に留まっている。また計測データが戦後のもののみであることから単純比較は出来ないため掲載は略するが、南鳥島の場合60年余りにおける明らかな平均気温の変化は確認できなかった。
少なくとも日本における気温の変化は人口増加・都市化に伴うもので、人口密集地帯ではヒートアイランド現象によるところが大きいと見た方が、道理は通りそうだ。
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