夕暮れのフクロウ

―――すべての理論は灰色で、生命は緑なす樹。ヘーゲル概念論の研究のために―――(赤尾秀一の研究ブログ)

ヘーゲル『哲学入門』第三章 宗教論 第七十四節[理性と悟性]

2023年01月24日 | ヘーゲル『哲学入門』

 

ヘーゲル『哲学入門』第三章 宗教論 第七十四節[理性と悟性]

§74

Dies Wissen(※1) muss sich näher bestimmen und nicht inneres Ge­fühl, Glauben an das unbestimmte Wesen überhaupt bleiben, (※2)sondern ein Erkennen desselben werden. Die Erkenntnis Gottes ist nicht über die Vernunft(※3), denn diese ist nur Widerschein Gottes und ist wesentlich das Wissen vom Absoluten, sondern jene Erkenntnis ist nur über den Verstand, das Wissen vom  Endlichen und Relativen.

第七十四節[理性と悟性]

この知はさらに詳しく自らを規定しなければならないし、そうして内的な感情や信仰などの不確かな本質一般のままに留まっていてはならず、むしろ、それらについての一つの認識に至らなければならない。神を認識することは理性を超えることではない。というのも、理性はただ神の反照に過ぎず、それは本質的には絶対者についての知にほかならないからである。ただ、その認識は悟性を、つまり有限なものや相対的なものについての知を超えるのみである。

 

※1
先の第七十二節、第七十三節を受けての「絶対的なものについての知」のこと。

※2
たしかに宗教もまた絶対的なものについての知ではあるが、この知は、きちんと規定もされずに、あいまいな本質のままに留まっていてはならず、一つの認識に至らなければならない。
「哲学は概念的な認識であり、宗教は表象的な認識である」といわれるが、ここに宗教から哲学へ移行する必然性がある。

※3
ヘーゲル哲学にとって重要な概念であるVernunft(理性)とVerstand(悟性)の根本的な差異が的確に説明されている。
Vernunft(理性)は神の反照(Widerschein Gottes)、絶対者についての知であり、Verstand(悟性)は有限のものや相対的なものについての知識である。

 

 


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