内容説明
ポル・ポト政権下で強行された教員や知識人の大量粛清および旧来の教育制度の停止したカンボジア。その軍事政権の瓦解後、非常に困難な教育再建がどのように行われたかを歴史的に詳細に描く。その時代に教育を担ったのが、教員資格を持たずに教師となった「クルー・チャッタン」と呼ばれる人々である。本書は彼/彼女らが経験した激動の時代の「生きられた歴史」を明らかにするとともに無資格ながら懸命に培った創造性豊かな教育実践の熱情が伝わつてくる労作である。
目次
序章 研究の課題と方法
第1部 政権が構想した初等教育(カンプチア人民共和国期の初等教育再建の背景;機関紙『カンプチア』にみる教育再建;1980年初等教育カリキュラム)
第2部 「クルー・チャッタン」の初等教育(「クルー・チャッタン」の生きられた歴史;「クルー・チャッタン」の初等教育再建;生きられた歴史にみる初等教育の特質―クメール語と「労働」)
終章 「クルー・チャッタン」の生きられた歴史とポル・ポト時代後の初等教育
著者等紹介
千田沙也加[センダサヤカ]
1982年、静岡県に生まれる。2006年、名古屋大学理学部生命理学科卒業。青年海外協力隊(理数科教師・カンボジア)(2007年~2009年)、名古屋大学国際開発研究科博士前期課程修了(2010年)、愛知県立東郷高等学校常勤講師(理科)(2010年~2011年)、日本学術振興会特別研究員(DC1)を経て、2019年、名古屋大学大学院教育発達科学研究科単位取得退学。博士(教育学)。現在、日本学術振興会特別研究員(PD)(京都大学東南アジア地域研究研究所)。専門は比較教育学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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