内容説明
学習成果の評価手法に新たな視座を与える挑戦的研究!今日の高等教育において、テストの点で測られる能力(学力)だけでなく、認知能力や対人関係能力、人格特性の育成をも含めたより高度な能力―高次の統合的な能力―の育成が求められている。他方、そういった能力は数値化が難しく、評価者の主観の混入が避けられない、評価負担が大きいなどの問題も有している。評価の方法論として今日二分化されている質的評価と量的評価の手法を架橋し、高次の統合的な能力を捉えるためのパフォーマンス評価の在り方を明らかにした労作。
目次
序章(学士課程教育における学習成果の可視化とその評価;高次の統合的な能力;異なるタイプの評価の架橋と統合の必要性;本研究の問題と目的;本研究の対象;本論文の構成)
第1章 高次の統合的な能力を捉えるためのパフォーマンス評価の心理測定学的検討(問題と目的;調査対象;結果と考察;まとめ)
第2章 学習成果の間接評価は教員による直接評価の代替たりえるか(高等教育における多様な学習成果の評価方法;学習成果の直接評価と間接評価の関連に関する先行研究;コースレベルにおける学習成果の直接評価と間接評価の関連の検討;まとめ)
第3章 パフォーマンス評価における学生の自己評価の変容(質的評価におけるルーブリックの機能;学生を評価主体として育成するためのルーブリックの活用;ルーブリックを活用した学生の振り返りの効果の検討;まとめ)
第4章 高次の統合的な能力の変容に寄与する学習者要因の検討―直接評価と間接評価の統合(直接評価と間接評価の統合の必要性;学習者要因を捉えるための間接評価の開発;問題解決能力の変容に寄与する学習者要因の検討;まとめ)
終章(4つの検討の流れ;結論;本研究の限界と今後の課題)
著者等紹介
斎藤有吾[サイトウユウゴ]
藍野大学医療保健学部理学療法学科/教学IR室助教。京都大学博士(教育学)。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。京都大学高等教育研究開発推進センター研究員、山口大学大学教育センター助教(特命)、京都大学高等教育研究開発推進センター特定助教を経て2018年より現職。専門は大学教育論、教育評価論。パフォーマンス評価に代表される質的な評価手法と、心理測定学を基盤とする量的な評価手法の架橋を目指す研究を行っている。その専門性をもとに、多くの教育実践をしつつ、所属大学の教育の特色を活かしながら教職員協働でボトムアップに教育改善の議論をすすめていくための実務に携わっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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