内容説明
リットが生涯をかけ到達した弁証法理論の極致を、貴重資料から紐解く。近代世界における目まぐるしい発展をかたちづくった科学技術は同時に、世界を客体化・事物化し「人間の主体的なもの」を蹂躙した。本書は、リットが晩年に行った2つの講演内容の本邦初訳の書であるとともに、近代に対立したこれら二項概念の独自な止揚を通して両者の相互不可分性を説いたリット弁証法理論の到達点、およびそこに見出される“美学”を明らかにする。
目次
訳者解説 回想のテオドール リット―教育者・哲学者としての研究と教育の自由をめぐるその格闘(Th.リットの略歴;Th.リットのナチズムとマルクス主義理念に対する抵抗;Th.リットの人間像―リットと直接あって対話した人の証言から;Th.リットの思想―日本語文献を中心として;最晩年のTh.リット;Th.リットの主要著作;日本語によるTh.リットの文献;教育(哲)学関係以外の学問分野で言及されている日本(語)でのTh.リット論)
1 事物化した世界における自由な人間―エルンスト・ロイター追悼講演
2 現代における生の力としての芸術と技術
著者等紹介
リット,テオドール[リット,テオドール] [Litt,Theodor]
1880‐1962。ドイツの哲学者、教育学者。ライプチヒ大学教授、学長(1931‐32)を歴任するもナチズムに抵抗し辞職。戦後の1945年請われて復職するが占領下の旧ソヴィエト体制と軋轢を生む。1947年、旧西ドイツ・ボン大学の招請をうけて教授に復帰。1954年、連邦政府学術功労賞叙勲、1955年、大統領星十字大功労賞授与
小笠原道雄[オガサワラミチオ]
1936年生まれ。広島大学名誉教授、ブラウンシュバイク工科大学名誉哲学博士(Dr.Phil.h.c.)。ボン大学客員教授歴任
山名淳[ヤマナジュン]
1963年生まれ。東京大学大学院教育学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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