次は少し違ったテスト画像で階調表現力を評価していこう。以下に明部に近い階調と暗部に近い階調の薄い色を敷き詰めたカラーパターン画像を用意した。階調表現力が足らない液晶ディスプレイでは、隣接する色との見分けが付かなくなる仕組みだ。
白に近いパステル調のカラーから、より白に近い階調へ段階的に変化するカラーパターン。各カラーの明度が上がるほど(白に近づくほど)、隣接する色との見分けがつきにくくなる。
明度と色相が段階的に変化するカラーパターン。各カラーの明度が下がるほど(黒に近づくほど)、隣接する色との見分けがつきにくくなる。
先のページに掲載したグラデーション画像では全体的に何となく見えていたと思っていたが、これらのパターンでは見えない部分が生じたというケースがあるかもしれない。前述の通り、液晶ディスプレイは黒に近い階調の表示がつぶれやすいので、特に黒に近いカラーパターンは判別するのが難しい。
見えない部分が生じたということは、目の特性などによる誤認識が多少あるにせよ、フォトレタッチなどで人物の微妙な肌色やトーンが正確に分からない場合が出てくる可能性もある。色再現性にこだわるユーザーは液晶ディスプレイの買い替えや買い増しを視野に入れたほうがいいだろう。
ちなみに、FlexScan SX2462Wでこれらのテスト画像を確認したところ、白に近いパターンも黒に近いパターンもすべて描き分けることができていた。白飛びや黒つぶれがないのはもちろん、不自然な色かぶりも見られない。
階調表現力と並んで、輝度ムラと色度ムラも目視でチェックしやすい。輝度ムラは画面の各所で明るさにばらつきがあることで、フルスクリーン表示にして文書作成や表計算を行う場合などで気になりやすい。色度ムラは画面の各所で発色がばらつくことで、輝度ムラより分かりにくいが、グラフィックス系の表示が不自然になり、色再現性が低下する原因になる。
どんな液晶ディスプレイでも多少の輝度ムラや色度ムラはあるものだが、輝度を下げるとムラが目立ちやすくなる製品は多い。また、複数の液晶ディスプレイの輝度ムラや色度ムラを見比べてみると製品によって割と大きな差があるので、注意したいところだ。
輝度や色度のムラは、WindowsやMac OS Xの標準機能で確認できる。デスクトップの背景を「単色」にして、少し離れた位置から画面全体を見渡せばいい。デスクトップ背景の色は黒、白、グレーに加えて、100%の赤、緑、青、シアン、マゼンタ、イエロー、そして任意の「白に近い薄いカラー」で確認すれば万全だ。
実際にテストしてみると、グレーや白に近い薄いカラーを表示した場合、思った以上にムラが発生することに驚くかもしれない。一般的に、液晶ディスプレイは画面の中央付近が最も明るく、周辺部に向かって徐々に暗くなっていく。中央付近と周辺部の輝度差が少なければ気にならないが、輝度差が大きく目立つ製品もある。
ちなみにこのテストは液晶ディスプレイのドット不良(常時点灯/消灯)を調べるのにも効果的だ。また、黒の表示については、夜間に室内の照明をすべて消すなどして、周囲が暗い環境で試してみてほしい。明るい環境では画面全体が均一な黒に見えていたはずが、暗い環境では光もれによる部分的なムラが分かることも少なくない。
輝度ムラと色度ムラのテストをFlexScan SX2462Wで試したところ、ここでも良好な結果が得られた。画面の4辺、特に画面下端では輝度が少し下がるものの、全体にフラットで気持ちがいい表示だ。これには、輝度と色度を画面上の各所で測定し、全体が均一になるように補正する「デジタルユニフォミティ補正回路」の搭載が効いている。
デジタルユニフォミティ補正回路を搭載したFlexScan SX2462Wと、こうしたムラ補正機能がない同サイズの液晶ディスプレイを並べて見比べると、その差は一目瞭然(りょうぜん)だ。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年3月31日