独非営利団体がOpenOffice.orgベースの「White Label Office」を公開、Apacheはこれに対し協調を呼びかけ

 ドイツを中心に活動する非営利団体「Team OpenOffice.org e.V.」は12月21日、OpenOffice.orgをベースとする「White Label Office 3.3.1」のリリース候補(RC)版を公開した。OpenOffice.orgをホスティングする本家のApache Software Foundation(ASF)はこれに対し、協調を呼びかけている。

 White Label Office 3.3.1は「OpenOffice.org 3.3.0」をベースに重要なバグ修正などを加えたメンテナンスリリース。Javaランタイムのアップデート、カラードキュメントアイコンの復活なども加わっている。

 土台となるOpenOffice.orgは、ASFのプロジェクトとなるまで紆余曲折を経ている。もともとは独StarDivisionが開発していた「StarOffice」を起源とし、StarDivisionが米Sun Microsystemsに買収された後、SunがOpenOffice.orgプロジェクトを立ち上げた。そのSunを2010年1月に買収完了した米Oracleは2011年6月にOpenOffice.orgをASFに寄贈、現在ASFの元でインキュベーションプロジェクトとして運営されている。その間、OpenOffice.orgの一部の開発者がフォークプロジェクト「LibreOffice」(The Document Foundation)を設立、OpenOffice.orgは求心力を失ったと見る向きもある。LibreOfficeの最新版は、11月にリリースしたバージョン3.4.4となる。

 今回のTeam OpenOfficel.orgによるRC版リリースは、ASFが前日にApache OpenOffice.orgのビジョンと今後の計画を公開書簡にて発表した直後となる。ここでASFは、次期版となるバージョン3.4を2012年第1四半期に公開するとし、商標権はASFが有するとも付記していた。

 その経緯もあってか、Team OpenOffice.orgは「OpenOffice.orgの商標権はASFが保有するため、White Labelという名称にした」と説明している。

 だが、ASFは同日付けでコメントを発表、Team OpenOffice.orgの動きについて「混乱させる」、「Apache OpenOffice.orgにダメージを与える」と遺憾を示している。Team OpenOffice.orgはホームページにて「全ユーザーのメリットとなるためにASFと協力したい」といった意思を記しているが実際にはコミットがないと指摘、Apache OpenOffice.orgは、「OpenOffice.org時代の善意による独裁体制とは異なる」ことを理解してほしい、と協調を呼びかけた。また、名称と商標についても、Team OpenOffice.orgが「共同での利用についてASFと合意できなかった」と記していることは残念だとしている。

 Team OpenOffice.orgは、ドイツ在住の4人のOpenOffice.org開発者による非営利団体で、設立は2003年にさかのぼる。OpenOffice.orgのサポートとディストリビューションを主な目的とし、寄付金により運営されている。10月には、OpenOffice.orgが危機にあるとして基金調達キャンペーンを展開するなど、独自の動きをしてきた。今回のリリースについて、「メインスポンサーのOracleが抜けた後、プロジェクトに実質的でプロフェッショナルな開発スキルをもたらすことは急務だ。これ以上時間をロスできない」とし、RC版リリースにより「ユーザーに成果を示したい。ポジティブなサインを送ることができる」と記している。

 Team OpenOffice.orgによると、White Label OpenOffice.org 3.3.1の正式版は2012年初めに公開予定という。

Team OpenOffice.org e.V.
http://www.teamopenoffice.org/

Apache Software Foundation(ASF)
http://www.apache.org/