昨今日本の企業では、社員に英語などの第二外国語の習得を奨励し、中には「社内の公用語は英語」と定めるスパルタな企業も現れはじめています。このように、第二外国語の習得は、もはやキャリアアップとは切っても切れないものになりつつありますが、バイリンガルになることは、キャリアだけでなく脳にもいいらしいということが、ある研究結果で明らかになりました。

Photo by University of Salford.

 2つの言語を定期的に使うと、脳に新しい導線ができ、問題解決につながる2種類の線ができるとか。これによって、異なる2つの考えを頭の中で一度に捉えやすくなるそうです。バイリンガルに関する研究歴40年のEllen Bialystok博士は、マルチタスク能力が向上すると指摘しています。

またこのように、脳が構造的な変化によって「バイリンガル仕様」になると、認知症の始まりを遅らせられる効果もあるとか。1言語しか使わない認知症患者に比べて、バイリンガルの認知症患者は、その症状が5~6年遅れて現れるそうです。ただし、この効果は「学生時代に勉強したっきり...」という程度では十分でなく、常に2つの言語を操っていることが必要のようです。

医学系メディア「WebMD」で紹介されているある研究によると、5歳になるまでに第二外国語を学ぶと、脳の発達に最もよいとか。とはいえ、今からでも遅くはありません。英語など、一度、学んだことのある言語をもう一度学び直し、自分をバイリンガル化してみてはいかがでしょう? 外国語習得サイト「Memorista」や雑誌がオンラインで読めるサイト「Maggwire」、ライティング強化ツール「750 Words」など、デジタル系の学習ツールなどを、うまく活用してみてくださいね。

The Bilingual Advantage | The New York Times

Melanie Pinola(原文/訳:松岡由希子)