ウソも方便

ときには相手を傷つけないため、人との和を守るため、ウソをつくことも思いやりですね。では、そんな「ウソ」と「ホント」との絶妙なバランスは、どのあたりにあるのでしょう?

心理学誌「Psychology Today」で、Elizabeth Svoboda氏は、真実を語ることの長所と短所について採り上げています。正直さや率直さに対する反応は、人によって異なるもの。ウソを好む人もいれば、あえてついたウソがトラブルの元になる場合もあります。逆もまた真なり、です。

 では、ウソとホント、どちらの方がカンタンに言えるのでしょうか? もちろん、真実を語るほうが、ウソをつくよりもカンタンです。なぜなら、ウソをつき続けるのはなかなか骨が折れるからです。とはいえ、「正直者」を追求しすぎると、様々な反響がありうるのも事実です。

しかし、実は「正直」には、似て非なる2つのものがあります。「真実」と「正直な意見」には、明らかな違いがあるのです。たとえば、「花瓶を割ったのは、ボクです」というのと、「キミのウェブサイト、ヒドイよね」というのは、違います。後者の場合、ウェブサイトの評価は主観的なものですので、語り手の正直な意見であったとしても、それは必ずしも真実を表しているとはいえません。こういう場合は、「自分が思うに~(I feel~)」をつけたほうがよいかもしれません。例えば「キミのウェブサイト、あのネコの画像を取ったほうがいいかな、って思うんだけど...」といった具合です。

Svoboda氏は「ウソ」と「ホント」の使い分けのコツとして、以下の3点をあげています。

  1. ホントのことを話すことが、状況の改善につながるか考える
    真実を語ることが、状況の改善につながる可能性を持っているか、冷静に考えよう。
  2. 相手方の意図を汲み取り、これにあわせる
    たとえば「私たち、親友でしょ?」という相手の問いかけを、真正面に受け止めて「そうでもないよ」と答えるよりは、「最近なんだか寂しい感じ? もっと頻繁に一緒に出かけたほうがいいかな?」と、相手の意図を汲んで受け流したほうがいい。
  3. よりよい人間関係づくりのために「ホント」を利用する
    ヒトは、相手からちょっとした秘密をさらけ出してもらうことで、親近感を持つもの。よりよい人間関係の構築のためには、本当のことを打ち明けるのも有効。

ウソとホントの使い分けも、コミュニケーションのひとつ。表面上の言葉尻や体裁だけでなく、相手の真意や周りの「空気」を読んだ上で、臨機応変に対応することがポイントのようですね。

このほか、ウソにまつわる記事としては、ライフハッカーアーカイブ記事「『Yes/No』形式の問いかけで、ウソをシンプルに見抜くコツ」や「怪しいウソは絵を描かせてみると見破れるらしい」などもあわせてどうぞ。

Field Guide to the Truth Teller: I Cannot Tell a Lie [Psychology Today]

Adam Dachis (原文/訳:松岡由希子)