中国版ナスダック「創業板」、1年で134社上場
市場規模7兆円超に
【上海=戸田敬久】深セン証券取引所のベンチャー企業向け市場「創業板(中国版ナスダック)」が開業1周年を迎えた。上場企業数は昨年10月30日の上場第1陣の28社から、1年間で134社まで拡大。市場規模は6112億元(約7兆4000億円)に膨らんだ。創業板企業の大半は民営企業。国有企業が牛耳ってきた中国経済の新たなけん引役として期待されている。
「創業板は予定通りの方向に発展している」――。中国証券監督管理委員会の尚福林主席は10月29日、広東省深セン市で開いた1周年記念式典で成果を強調した。創業板企業はIT(情報技術)や環境、新素材など新産業が主体で、当初のもくろみ通りだ。尚主席は同日、大学教授ら15人の諮問委員会を設立し、技術面での審査能力を高める方針を明らかにした。
これまで上場した134社が創業板で調達した資金は1000億元弱。個人投資家の創業板ブームを追い風に、当初の調達予定額を600億元強上回る盛況ぶり。銀行から融資を受けにくいベンチャー企業の資金繰りを支援する役割を大いに果たした格好だ。
もっとも、「予定を超えた資金の大半は銀行預金として眠っている」(国内証券)とみられ、創業板上場が新たな成長につながっていないとの指摘もある。創業板企業全体の2010年1~6月の純利益合計の増益率は前年同期比20%と上場企業全体(40%強)を大きく下回る。10年1~3月期決算では、環境関連企業が最終赤字になったケースもあった。
11年から始まる次期5カ年計画で新産業の育成政策が強化されることを好感し、創業板指数は9月下旬の900台前半から、足元では節目の1000を若干回復する水準まで上昇してきた。ただ、中国メディアによると、値動きが激しい創業板市場では「7割の個人投資家が損している」との見方もある。