【9月23日 AFP】米俳優ケヴィン・コスナー(Kevin Costner)氏は22日、米下院国土安全保障委員会(US House Homeland Security Committee)に出席し、メキシコ湾(Gulf of Mexico)原油流出事故の原油除去作業が「からみあって混乱」していると述べ、自らの立案した8億9500万ドル(約760億円)規模の緊急対応計画を採用するよう求めた。

 映画『ウォーターワールド(Waterworld)』でヒーローを演じたケヴィン・コスナー氏は、実人生では原油除去技術の開発に強い情熱をそそいでいる。

 BPの油田掘削施設「ディープウオーターホライズン(Deepwater Horizon)」の事故を受け、コスナー氏は、原油除去に化学分離剤を使わない、自らの会社「オーシャンセラピーソリューションズ(Ocean Therapy Solutions)」が開発した水と油を分離する遠心分離装置と、原油回収専用の船団の採用を求め、連邦議会を訪問した。

 コスナー氏によると、英エネルギー大手BPは、コスナー氏の会社の原油分離装置を32台リースしたものの、どうすればよいかわからずにしばらく放置していたという。コスナー氏は、「われわれの装置は何日も船の上に放置されていた」と語り、その状況について「協調不足だ。からみあった混乱だ」と議会証言後に記者団に述べた。

 BPは、原油除去作戦では「チャンスの船団(Vessels of Opportunity)」計画を推進している。この計画は小型船舶の所有者たちを原油対策に従事させるというものだが、数千隻の小型船舶所有者の大半は漁業従事者で、原油封じ込めには全く経験の無い人びとだ。

 コスナー氏は、「われわれの選択ははっきりしている」と議会で述べた。「訓練や準備不足がネックになっている6000隻の船団を採用するか、もしくは、最新技術を駆使した190隻の船団を採用するかだ」

 コスナー氏によると、この船団は油の流出に迅速に対応でき、原油が陸に到達する前に沖合で原油を大量に回収することができるという。化学分散剤をまく必要もないという。

 コスナー氏は、BPの流出事故以上の最悪のケースも想定していると述べ、「われわれの生きている世界が危険なものであることから、ディープウォーターホライズン級の事故が5か所で同時に起こる事態も想定している」と述べた。(c)AFP