電力需要のピークは夏よりも冬、1月の月間使用量が最大電力供給サービス

2012年3月までの実績値をもとに、東日本大震災後の1年間にわたる電力需要の傾向を見ると、全国の合計では1月が最大で、夏よりも冬の電力需要のほうが大きい。特に家庭向けで冬の電力需要が増えた。

» 2012年04月27日 13時17分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 電気事業連合会が2012年3月の電力需要の実績値を4月27日に発表した。これをもとに、2011年4月からの1年間の電力需要の傾向を、地域や契約種別を含めて分析してみた。意外なことに、全国の電力需要を合計すると、夏の7月から9月よりも、冬の1月から3月のほうが多くなっている(図1)。

ALT 図1 月別に見た2011年度の電力需要

 2011年の夏には全国各地の企業や家庭が節電に取り組んだ結果、8月と9月の電力需要が前年から10%以上も減少した。夏のピーク期間である7月から9月の3か月間を見ると、全国合計では月間75,000百万kWh前後で推移している。

 これに対して冬のピークを迎える1月と2月は月間80,000百万kWh程度まで増えており、3月を含めて夏の電力需要を上回った。前年の実績から微減にとどまったことも大きな要因である。

 電力需要の実績値は一般家庭を中心とする「電灯電力」と、企業を中心とする「特定規模」の2つに分類されている。このうち冬の電力需要が大幅に増えたのは「電灯電力」で、最も多かった1月は最も少なかった6月の1.8倍にのぼっている。「特定規模」の電力需要は8月が最大だったが、最小の5月と比べても1.2倍にとどまった。

 全体の電力需要を引き下げるためには、一般家庭における冬の節電が重要であることが分かる。地域別に見ても、「電灯電力」の需要は沖縄を除いて、全国各地で1月が最大になっている(図2)。夏の節電意識が冬には弱まってしまっていた可能性も考えられる。

ALT 図2 地域別に見た2011年度の電力需要

 一方、企業が対象になる「特定規模」の電力需要は北海道と東北を除いて、夏の7月から9月が最大だ。東京電力の管内では9月がピークで、それでも前年から15%も削減した結果であり、今年さらに減らすことは難しそうだ。

 2011年は東日本大震災の影響が電力需要にも大きく反映しており、特に夏場は東京電力の管内を中心に例年と比べて大幅に減少した。業務を一時的に停止した企業も多く、本来であれば電力需要はもっと大きくなっている。事業に支障を与えずに電力需要を抑えるためには、企業と家庭の双方で夏と冬の節電に継続的に取り組む必要がある。

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