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2011春夏パリコレクションレポート 「エルメス」

今回限りで「エルメス」を卒業する、ジャンポール・ゴルチエが素晴らしいショウを披露。
2011春夏コレクション エルメス Photo: Firstview/VOGUE.COM

2011春夏コレクション、「エルメス」

2011春夏パリコレクション最終日、今回限りで「エルメス」を卒業する、ジャンポール・ゴルチエが素晴らしいショウを見せてくれた。

会場の前で私たちが待っていると、やけに大きなトラックが到着。会場の裏手に回り、しばらくすると戻ってきて、また出て行った。何だろう、でも私たちには関係ないか……と思っていたら、これが大間違い。1時間ほど遅れてショウの幕が切って落とされた時、キャットウォークの奥に並んでいたのは、なんと7頭の馬たち。輝くシャンデリアの下、音楽に合わせてステップを踏んでいた。見事な自然の美。1カ月にわたるファッションの人工美の追求で疲れた私たちの目を、いっぺんに癒してくれる素敵な演出だ。リセットされた私たちが、その後に登場したゴルチエの服たちに魅せられたのは言うまでもない。

ゴルチエは余計な装飾を排し、抑制のきいたスタイルを打ち出し、素材のクオリティと仕立てのよさで勝負した。エレガントな乗馬ズボン、流れるようなシルクのパンツスーツ、ナチュラルな色合いのレザー・ジャケットやスエードのジャンプスーツ。その品質の高さこそ、「エルメス」の「エルメス」たる所以だ。手にはバーキン・バッグ、頭にはシルクのスカーフ、そしてシフォンのロングスカート。女性らしさが満開で、ゴルチエが「エルメス」で過ごした7年間の集大成にふさわしい。

最後にキャットウォークに現れたゴルチエは、別れのしるしに一輪のバラを手にしていた。来シーズンからは、「ラコステ」から移籍したクリストフ・ルメールが「エルメス」を手がける。楽しみだけれど、ちょっと寂しくもある。

2011春夏コレクション「エルメス」の全ルックは、こちら。

by Dolly Jones