2010年3月18日(木)
バンダイナムコゲームスが1月21日に発売したPSP用ソフト『魔法少女リリカルなのは A’s PORTABLE-THE BATTLE OF ACES-(以下、リリカルなのはA’s PORTABLE)』。その制作スタッフに発売後インタビューを行った。
『リリカルなのはA’s PORTABLE』は、人気アニメ『魔法少女 リリカルなのはA’s』をゲーム化した作品。シリーズ初のゲーム化となる本作は、なのはやフェイトといった人気キャラクターを操りながら、派手な空中戦が楽しめる対戦アクションゲームとなっている。
電撃オンラインでは、トータルゲームデザイナーの金子彰史さん(ウィッチクラフト)、ゲームデザイナーの國本豊さん(ウィッチクラフト)、プロデューサーの富澤祐介さん(バンダイナムコゲームス)とソフトを使った対戦会を実施。その対戦後にインタビューを行ったので、その様子を掲載する。以前に行われたインタビュー記事とあわせて、チェックしてほしい。
――発売から1カ月強が経過して、反響はどうですか?
金子:反響のほとんどが好評価なので安心しています。ソフトの発売前と直後には手厳しい評もいただきましたが、実際に手にとって遊んでもらうことで、前評判を覆せたのがうれしいです。
富澤:ソフトの公式サイトでもアンケートを実施していますが、その評価もとてもいいです。待ち望まれていたという部分もあったと思いますが、ご好評いただいておりますね。
――映画と同時期の発売ということで、タイミングがよく盛り上がったのも、大きかったのかもしれませんね。
富澤:そうですね。『なのは』というコンテンツ全体の盛り上がりがあったと受け止めています。
――劇場版アニメ『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』の舞台あいさつを取材させていただいたんですが、人の数の多さもさることながら、『リリカルなのはA’s PORTABLE』を遊んでいる人の多さに驚きました。
富澤:そうしていただきたいと思って、無理を言ってあの時期に作っていただいた部分もあるので、よかったです。
▲対戦企画に続いて、インタビューに応じてくれた富澤さん(左写真)と國本さん(右写真)。金子さんは、國本さんの右に座っている。 |
――10万本を越える売上をどう受けとめていますか?
富澤:現在は、通常版を追加出荷しています。欲を言えばまだまだ多くの方に遊んでいただきたいですね(笑)。
金子:そうですね。できれば、『なのは』ファン以外の方にもさわっていただきたいです!
――購入した人からは、リクエストや要望などはありましたか?
富澤:ユーザーさんからの意見に関しては、初めてのシステムということで「自分が想像していたのとココが違う!」という声もありましたので、そこはフィードバックしていこうかと。原作者の都築真紀さんに書いていただいたシナリオに関しては、とても好評ですね。
――フェイトのように、対戦バランス面では多少ツラいキャラもいるような印象を受けました。テストプレイ時のフィーリングや、全体的なバランスについて、教えていただけますか?
金子:シャマルが強くなりすぎないようにするなど、原作のキャラクター感は意識しました。フェイトは、クロスレンジの攻撃力を上げてみよう……などといろいろ試したんですが、それだとシグナムとかぶってしまうとか、そういう問題がありました。着地点を模索したんですが、そこに関しては力及ばずの点があったと思います。次の作品があるとしたら、まずはフェイトですかね(苦笑)。
――フェイトは人気キャラだと思うのですが、性能が厳しかったので「愛でカバーするように!」というメッセージなのかと思いました。
金子:非常に本意ではありませんが、ファンにとって腕の磨き甲斐のあるキャラになっているのは事実です。この場を借りての釈明ですが、「このキャラは人気キャラだから」や「このキャラは好きだから」という理由で強く設定したというのはありません。もしかしたら、國本はフェイトが嫌いでこっそり弱くしていたのかもしれませんが……。
(一同笑)
國本:いやいやいや、本当にないです(笑)。想定していたゲームバランスが固まり、一番最初に完成したのがフェイトだったんですが、そのバランスに最後まで寄りすぎたのが原因だと思います。もうちょっと、その後のバランスに柔軟に対応していけば違う結果になったのかもしれません。
――最初に想定していたゲームバランスとは、どういったものだったのでしょうか?
國本:全体的に技を出した時のスキが少し大きくて、そこを狙っていくという感じでした。ところが、ゲームを開発していくにつれてスピーディになり、その結果彼女だけ少し取り残されてしまったのかもしれません。
――EXガードが重要だと思うんですが、コツを教えてもらえますか?
金子:むしろ、教えてほしいです!
(一同笑)
國本:ガードそのもののスキを少なめにしてあるので、最初は「とりあえず置いておく」という形で使うのがいいと思います。タイミングに関しては、起き上がりなど仕切り直しの時ですかね。それだけで、だいぶ変わると思います。EXガードは発動直後から硬直がなくなるので、相手の攻撃のスキにこちらの技が入る状況になります。タイミングはシビアですが、理論上は反撃でフルドライブバーストが入るキャラもいます。遠距離魔法に合わせるのは、比較的わかりやすいと思います。技や距離によってもタイミングが違うので、慣れてもらう必要はありますが。
金子:簡単にいえば「練習してください」ということですね。
國本:そうです(苦笑)。
――ファンのやり込みでいろいろなコンボが見つかっていますが、これについてはどう思われますか?
金子:こちらとしては見ていて楽しいですね。研究してくださっているのがまずうれしく、それを実戦に盛り込んでくれているので、なおうれしいです。
國本:永久コンボがないようには、注意していたんですが……シグナムの永久コンボは、対戦ゲームなのでよくなかったとは正直思っています。特に、アドホックパーティを使っての対戦もあるので。
金子:反省点ですね。
――なるほど。ちなみに開発スタッフの中で、人気のキャラクターは誰でしょう?
國本:なのはだと思いますね。
金子:なのはは、やっぱりスタンダードなキャラ。このゲームの基本事項が入っているので、こんなゲームというのを理解できるんです。それで、使っているスタッフは多かった気がします。
――皆さんは、どのキャラクターを使っているんですか?
金子:対戦でも使っていたんですが、ザフィーラですね。もともと投げキャラが好きなんです。
國本:よく使うキャラは、ヴィータです。途中でコンボキャラになって、キモチよかったので。
富澤:僕もヴィータが好きなんで、今コンボを練習中です。いろいろなコンボがあると聞いたので……誰かに教えてほしいと思っています。
――同キャラ対戦の時に、色味が似ているキャラがいると感じたのですが……。
金子:色については、こちらから委員会にいくつか提示して、許可をいただいた形ですね。今回は、ストーリー上に“マテリアルシリーズ”という見た目が大きく違うキャラがいるので、色は近いけれど少し違う、というコンセプトで作っています。
國本:キャラクター自体を変えずに、色を変えるという手法ですね。
富澤:あとは、作中に自分と同じような見た目のキャラが出てくるので、明らかに違う色だったら間違えないというストーリー上の問題もありました。確かにご指摘の通り「自分のザフィーラはどっち!? 帯の色を見なきゃ!」という風にはなりますね(笑)。
話題にあがっていた、同キャラ対戦時の様子。ロングレンジでは問題ないが、クロスレンジだと色味が似ているキャラもいる。 |
――今話題に上がったマテリアルシリーズが、ファンの間ではかなりの人気ですよね? 今後、彼女たちを使って展開していく予定はありますか?
國本:ゲームオリジナルキャラとして人気が出たのは、開発スタッフとしてはうれしいですね。
金子:活躍する場を作れるとしたら、都築さん側ですね。続編が出ればというところで……。
(金子さんと國本さんが、富澤さんをチラっと見る)
富澤:キャラクターの色変えというところからスタートして、都築さんがキャラクター性やおもしろい設定をくださったことは、開発中から見てきました。予想以上に人気が出てきたので、もし次があればさらなる活躍の場がある……かどうかは都築さんだけが知っています(笑)。でも個人的に、もっと活躍させたいという思いはあります。
画像左から、星光の殲滅者、雷刃の襲撃者、闇統べる王。彼女たちマテリアルシリーズは、既存キャラクターのモデル違いではなく、非常に魅力的なキャラクターに仕上がっている。『なのは』ファンなら彼女たちのために本作を買うのもアリ!? |
→次のページで、ダウンロードコンテンツや今後の展開について激白!?
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