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小学校給食における食べ残しパンの持ち帰りについて
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小学校給食における食べ残しパンの持ち帰りについて
児童が食べ残した給食パンについては,食べ残しの理由にかかわらず一律に持ち帰りを禁
止しているが,各小学校における取組みの結果,ほぼ完食に近い状況となるなど給食を取り
巻く状況が変化してきていることから,持ち帰りについて検討を開始し,平成23年9月か
ら,一部の小学校において食べ残しパンの持ち帰りの試行を行った。
その結果を踏まえ,平成24年度から,全小学校において,食べ残しパンの持ち帰りを可
能とするもの。
1 経
学校給食を取り巻く状況の変化(食べ残し量の減少や異物混入件数の減少など)
(参
考)小学校におけるパンの残滓率
H20 年 12.7% → H22 年 4.0%
福岡市では,国が平成 9 年に定めた「学校給食衛生管理の基準」に基づき,食べ
残しパンの持ち帰りを禁止していたが,このことの是非についての議論の高まりを
受け,平成21年9月より3回にわたり福岡市立学校給食運営検討委員会で審議。
審議結果を踏まえ,平成22年2月に以下のとおり方針決定 = 現行の取扱い
・児童生徒の安全を第一義とし,一人の犠牲者も出さない見地から,持ち帰り
の禁止を継続する。
・食べ残しについての議論の前に,まずは,児童生徒が完食できるよう様々な
工夫・取組みを一層進めていく
・今後も動向に注目していく。
やむを得ない理由により食べ残したパンの持ち帰りについて検討開始
【検討にあたっての前提】
・児童の安全
・児童の心身の健全な発達と健康保持(1日に必要な栄養素や栄養量の 1/3 を
提供)
・食べ物を大切にする気持ちや給食関係者への感謝の心を養う
・児童の「生きる力」を養う
・学校給食衛生管理基準(「持ち帰りは衛生上の見地から禁止が望ましい」とさ
れている)
食べ残しパンの持ち帰りを可能とした場合にどのような問題が生じるのかを確認す
るため,試行を実施
試行対象校:栄養教諭・学校栄養職員配置小学校 55校
試行期間:平成23年9月中(保護者への周知や希望調査終了後)から
平成24年3月22日まで
H24.3.13 協議・報告イ

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2 試行の結果と考察
(1)持ち帰ったパンによる健康被害の発生について
試行校から異物混入や食中毒等による健康被害の発生に関する報告はなかった。
(2)完食に向けた取組みへの影響について
試行校から「完食に向けた指導が難しくなった」,「食べ残しが増えた」との報告もあ
ったが,全体としては,試行後(11 月)のパンの残滓率は試行前(6月)よりも減少し
ており,食べ残しパンの持ち帰りが安易な食べ残しにつながったとは言えず,これまで
の完食に向けた取組みによるものと考えられる。
(3)その他
「つぎは完食するように声をかけている」など,持ち帰ったパンをきっかけとして家
庭でも給食の完食について話題にしたり,「食べ残した量で,その日の体調を知ることが
できる」,「完食できないことに悩み,不安そうにしていたのがなくなった」など,種々
のメリットがあることが確認できた。
3 福岡市立学校給食運営検討委員会(平成 24 年2月 27 日開催)における意見
委員からの主な意見
・持ち帰り禁止が完食への取組強化につながったとも考えられ,持ち帰りが可能とな
れば,再び食べ残しが増える可能性がある。
・衛生面も含めて保護者への説明は学校任せでなく,教育委員会が行うべきである。
・食の細い児童は給食が苦になっていたが,持ち帰りの試行により給食時間を楽しく
過ごしていると聞いている。
・持ち帰りを一律に禁止又は可能とすることが望ましいとは思わないが,個々の児童
について持ち帰り希望の有無を担任が把握して対応するのは困難である。
・多くの保護者は持ち帰り後の保護者の責任について理解しており,持ち帰りが可能
となったことの周知のみを行えば十分であり,希望調査までは必要ない。
4 今後の食べ残しパンの取扱いについて
○小学校においては,平成 24 年度から,やむを得ない理由により食べ残したパンについて
は,以下の点に留意しながら持ち帰りを可能とする。
・引き続き給食時間内での完食を最優先に取り組む。
・持ち帰り後のパンの管理は保護者の責任で適切に行っていただくこととし,年度
初めに保護者にプリントを配付するなどの方法により周知する。
・保護者が持ち帰りを希望しない場合には,食べ残しても持ち帰らせない。
・パンの持ち帰りが安易な食べ残しにつながっていないか,定期的に検証を行う。
○中学校については,現状を踏まえ,まずは,各学校において完食に向け重点的に取り組
んでいくこととし,食べ残しパンの持ち帰りの実施時期については,今後の状況を見守
りながら決定していく。
持ち帰りを可能とすることについて異論はないが,希望調査の実施については,学
校現場における負担及び保護者責任を明確にすることを踏まえ,再考を求める。

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(別紙)
食べ残しパンの持ち帰り試行結果
1 給食1回あたりの持ち帰り児童数
453人(児童全体の1.6%)
2 持ち帰りの理由
食が細い
48.1%
時間不足
31.5%
体調不良
11.3%
その他
9.1%
その他の主な理由
・満腹のため(おかずをおかわりした,調理実習でおなかがすいていない 等)
・アレルギーで食べられないため
・嫌いだから
3 持ち帰り後の状況
持ち帰った後、家庭で廃棄した児童の割合
31.7%
4 パンの残滓率
H23年11月
H23年6月
H22年11月
残 滓 率
3.2%
3.4%
4.4%
※試行結果報告書の提出があった52校における残滓率であるため,過去に健康教
育課が示した栄養教諭等配置校55校における残滓率と異なる。
※試行により残滓率が増加した小学校は52校中19校
※持ち帰り児童数と残滓率の間には,明確な相関関係はなかった。
5 試行により生じた問題
・パンの食べ残しが増えた。
・完食に向けた指導が難しくなった。
・おかずをおかわりしてパンを残すなど栄養摂取面で偏りが危惧された。
・校内でパンが捨てられていた。
・持ち帰るのを忘れる児童がいた。
・持ち帰っても廃棄したり親や犬が食べるなどして,児童が食べていない。
6 保護者からの意見(主なもの)
・食べかけのパンは持ち帰らせないでほしい。
・夏場は衛生面で心配がある。
・完食しているので持ち帰りは必要ない。
・完食できるのに,持ち帰るために残していることがある。
・持ち帰っても捨てている。
・袋にきちんと入っていなかったので廃棄した。
・持ち帰り後は家庭で責任を持つので、持ち帰りを継続してほしい。
・廃棄されるのはもったいない。
・子どもがどのようなパンを食べているのかがわかった。
・持ち帰ったパンを親が食べられるようになったので,楽しみにしている。
・体調不良や食が細い子どもにとっては持ち帰りができることはよいこと。
・食べ残しの量で,その日の子どもの体調が把握できる。
・完食できないことに悩み,不安そうにしていたのがなくなり,よかった。
・「つぎはもっと食べようね」と家庭で声をかけている。
・予想よりも持ち帰りが少なく,給食をよく食べていることが確認できた。