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2 試行の結果と考察
(1)持ち帰ったパンによる健康被害の発生について
試行校から異物混入や食中毒等による健康被害の発生に関する報告はなかった。
(2)完食に向けた取組みへの影響について
試行校から「完食に向けた指導が難しくなった」,「食べ残しが増えた」との報告もあ
ったが,全体としては,試行後(11 月)のパンの残滓率は試行前(6月)よりも減少し
ており,食べ残しパンの持ち帰りが安易な食べ残しにつながったとは言えず,これまで
の完食に向けた取組みによるものと考えられる。
(3)その他
「つぎは完食するように声をかけている」など,持ち帰ったパンをきっかけとして家
庭でも給食の完食について話題にしたり,「食べ残した量で,その日の体調を知ることが
できる」,「完食できないことに悩み,不安そうにしていたのがなくなった」など,種々
のメリットがあることが確認できた。
3 福岡市立学校給食運営検討委員会(平成 24 年2月 27 日開催)における意見
委員からの主な意見
・持ち帰り禁止が完食への取組強化につながったとも考えられ,持ち帰りが可能とな
れば,再び食べ残しが増える可能性がある。
・衛生面も含めて保護者への説明は学校任せでなく,教育委員会が行うべきである。
・食の細い児童は給食が苦になっていたが,持ち帰りの試行により給食時間を楽しく
過ごしていると聞いている。
・持ち帰りを一律に禁止又は可能とすることが望ましいとは思わないが,個々の児童
について持ち帰り希望の有無を担任が把握して対応するのは困難である。
・多くの保護者は持ち帰り後の保護者の責任について理解しており,持ち帰りが可能
となったことの周知のみを行えば十分であり,希望調査までは必要ない。
4 今後の食べ残しパンの取扱いについて
○小学校においては,平成 24 年度から,やむを得ない理由により食べ残したパンについて
は,以下の点に留意しながら持ち帰りを可能とする。
・引き続き給食時間内での完食を最優先に取り組む。
・持ち帰り後のパンの管理は保護者の責任で適切に行っていただくこととし,年度
初めに保護者にプリントを配付するなどの方法により周知する。
・保護者が持ち帰りを希望しない場合には,食べ残しても持ち帰らせない。
・パンの持ち帰りが安易な食べ残しにつながっていないか,定期的に検証を行う。
○中学校については,現状を踏まえ,まずは,各学校において完食に向け重点的に取り組
んでいくこととし,食べ残しパンの持ち帰りの実施時期については,今後の状況を見守
りながら決定していく。
持ち帰りを可能とすることについて異論はないが,希望調査の実施については,学
校現場における負担及び保護者責任を明確にすることを踏まえ,再考を求める。