毎日、遅くまで仕事で、プライベートの時間がない...(泣)。そんな「アリ地獄」のような状況から抜け出すには、どうすればよいのでしょうか?

キャリアマネジメントの専門家で、キャリアマネジメントツール「Brazen Careerist」の創設者でもあるPenelope Trunk氏は、著書『Brazen Careerist: The New Rules for Success』の中で、仕事をより効率的に進めるためのコツについて、次のように述べています。

長時間勤務が文化になってしまっている職場では、そこそこの時間にサクっと退社するのは難しいかもしれません。長時間仕事することによって、十分に取り組んでいるように見えることもあります。とはいえ、ヒトはフルスピードで仕事をし続けることはできません。許容範囲に達する前に、燃え尽きないようなペースを作ることが大切です

具体的なポイントとしては、以下のとおりです。

 

1: 量より質にこだわろう

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Photo by Demion.

仕事は、質こそ問われるべきもの。サービス残業をしないからではなく、大事なときに成果を出さないから、解雇されるのです。履歴書にも、これまでの仕事の成果はリストしても、何時間働いたかなんてことは書かないはず。


2: 仕事の目標を知ろう

仕事において、何が「ホームラン」なのかを知ることが必要です。上司から目標リストを共有してもらい、大きな枠組みで、これらがどうフィットするのかを理解しましょう。くれぐれも、目標はクオリティベースのものであって、時間ベースのものでないこと。その上で、人々が何を求め、彼らがどういう風に「成功」を評価しているのかをベースに、自分の仕事の質を判断しましょう。同様に、上司の目標を知ることも大切です。上司の目標を理解しておけば、本来の目的とあまり関係のない仕事に貴重な時間を費やすことも避けられます。


3: 昇進の基準を明らかにしよう

昇進の基準を明らかにしましょう。往々にして、長時間働かなければならないことはありますが、何時間働いているかだけで、昇進の可否を判断されることはありません。長時間働かずに、昇進できる何かいい方法はあるはず。少ない時間でこれを実現できる、いい仕事のやり方を見つけましょう。たとえば弁護士なら、所属する法律事務所にとって最重要の顧客を選び、そこに集中するといった具合です。


4: 断る勇気を持とう

何が成果として問われているかを明らかにした上で、ときには、目標達成に必要のない仕事は断りましょう。何が重要なのか? の優先順位付けは、自分だけでなく上司・会社にとっても役立ちます。もちろん、むやみに「No」と言えばよいというものではありません。誰よりも自分こそが、何が重要な仕事かを理解し、そのためによりよい方法を知っていると信じられてこそ、真に断る勇気が湧くのです。


5: スケジュールを公開しよう

たとえば、「木曜日の午後7時にポルトガル語の授業アリ」といったように、自分のスケジュールを事前に伝えましょう。休暇の予定がある場合は、事前に共有しておくこと。


6: メントーを見つけよう

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Photo by fotocromo.

尊敬できて、やたら長時間仕事するタイプではない人を探しましょう。じっくり観察し、どうやって仕事をしているのかを知ること。一目ではわかりづらいので、気をつけて探してみてください。


7: 可能な範囲でコントロールしよう

小さな努力が生産性向上につながります。可能な範囲でコントロールしましょう。たとえば、月曜日の会議は避けたほうが無難。週末は会議の準備にあてづらいからです。また、4時半以降の打ち合わせは断る、週次レポートを書いている間は電話に出ないなど、マイルールを作ってコントロールする方法もあります。「私、〇時以降の会議は出ない主義なんです」などと、あえて公言する必要はありません。既に予定が入っていると告げ、別の時間を提案してみましょう。もちろん、これが毎回まかり通るとは限りませんが、試みるのとそうでないのとでは、ずいぶん違いがあるはずです。


8: 時間を明確に区切ろう

「仕事の時間を数時間減らしたい」というのは、曖昧すぎて目標になりづらいです。むしろ、「午後7時までに帰宅する」とか「週末は仕事しない」など、明確な目標を作りましょう


9: 仕事以外で大事なことを作ろう

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Photo by Mike Baird.

仕事以外で楽しいことがないと、早めに退社する必要性を感じないかもしれません。プライベートで何か情熱を傾けられるものを見つけましょう。何も思いつかないなら、実際に何かを始めてみるのも一法です。新しい自分の一面を発見する唯一の方法は、新しい機会を自分に与えることです。


年度末に向けて、業績アップに忙しくなるこの時期だからこそ、改めて達成すべき目標が何か? を理解し、そのためにやるべきことへ集中したいものですね。

Trunk氏の仕事術については、 『Brazen Careerist: The New Rules for Success』(英書)で詳しく述べられています。ご関心のある方は、ぜひご一読ください。

Penelope Trunk (原文/訳:松岡由希子)