どのような生活を送っているかで、その人がどのような状況にいるのかは分かります。悪い習慣を断ち切るために何かの助けを借りることは簡単に思いつきますが、悪い習慣が現在の自分にとっていかにデメリットがあるかということに気付けば、もっと簡単に中毒や悪い習慣から抜け出せるのです。

Photo by Roy Montgomery.

 中毒や悪い習慣を断ち切るのは難しいことですが、案外ビシッと止めることは可能かもしれません。心理学系ブログ「Psychology Today」のStan Peele氏の記事によると、何の助けが無くても悪習慣を止めることはできるとのことです。

毎年アメリカでは、ドラッグとアルコールの習慣、薬物使用と健康に関する全国調査を実施しています。18〜25歳は、常にドラッグとアルコールの使用が一番多い年代です。現在入手できる最新データは2002年のものですが、18〜25歳のアメリカ人の22%は、薬物を乱用しているか依存していました。それに対して、55〜59歳のアメリカ人のうち、薬物を乱用・依存しているのは、わずか3%でした。このデータは、ほとんどの人が治療せずに薬物乱用を克服していることを表しています。

中毒治療が役に立たないとか、誰の助けも必要がないと言っているわけではありません。驚くべきなのは、自分が中毒になっているものが、いかに自分の日常生活を妨げているかに心の底から気がつくことが、最も一般的な中毒症状を克服する方法だということです。

例えば、家庭がありながら薬物中毒という状態だとしたら、ドラッグに溺れながら家族旅行も楽しむといったことは、同時にはできません。このように、中毒が自分の生活を脅かすことに気がつくことが、行動を改める必要性を感じさせ、一歩を踏み出すきっかけとなるのです。大事なのは、中毒がもたらす問題が今の自分の生活にどれだけ悪影響を及ぼしているか、自分で気がつかなければならないということです。

深刻な薬物中毒は、爪を噛んだり、めちゃくちゃな食生活をするといった他の悪習と、本質的には同じものですが、克服するのはより厳しいものがあります。悪い習慣というのは快楽なので、続けるのは簡単です。長い目で見た時のデメリットに実感がわかないと、止めたいと思うのは難しいでしょう。

ケーキを食べるということは、その瞬間の美味しい幸せも、その先の不幸(肥満・虫歯などになる可能性がある)も同時に味わうということ。遠い先のことよりも、目先のことを想像する方がはるかに簡単です。よって、悪い習慣を止めるには、それを今やめるべき理由を見つけなければいけません

その理由は自分にしか見つけられませんが、悪習がもたらすデメリットや不都合について、きちんと考えられれば、その理由を見つけるのは簡単です。中毒的な行動をしそうになったら、常にその先の最悪のシナリオを想像するようにしてみましょう。そして、遠い先の未来ではなく、すでに日常生活にもその問題が起こっている(影が潜んでいる)ことを思い出してください。実感として感じられるようになればなるほど、悪い習慣や中毒を断ち切るのは容易になっていきます。

The Surprising Truth About Addiction | Psychology Today

Adam Dachis(原文/訳:的野裕子)