神様が祝福してくれた広島と長崎と福島

広島の司祭

以下の歌詞はロックバンド:レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの名曲『スリープ・ナウ・イン・ザ・ファイアー』のサビだ。

But I am the Nina, the Pinta, the Santa Maria
The noose and the rapist, the fields overseer
The agents of orange, the Priests of Hiroshima
The cost of my desire, sleep now in the fire

我は、ニーナ号、ピンタ号、サンタマリア号
絞首刑の縄、強姦者、奴隷監視人
エージェント・オレンジ、ヒロシマの司祭
我が欲望の代償は火の中で眠れ

「ニーナ号、ピンタ号、サンタマリア号」はコロンブスが乗っていた船で、ネイティブ・アメリカン虐殺のきっかけとなった。エージェント・オレンジはベトナムで使われた枯葉剤のことだ。「the Priests of Hiroshima」を「ヒロシマの僧侶」と訳しているサイトも多いけど、これは「司祭」が正しいと思う。日本に落とされた原爆は飛び立つ前に司祭の祝福を受けている。

この曲はキリスト教の元に行われた犯罪を意味している。うーん素晴らしい歌詞だ。アメリカのバンドがこんな歌詞の曲を作っているというのが凄い。社会問題を歌詞にする事自体をバカにしている「いきものがかり」とかいうヘタレに1万回くらい聴かせてあげたい名曲です。マイケル・ムーアが監督したゲリラライブのPVも最高にカッコいい。

長崎の鐘

戦後ベストセラーとなった『長崎の鐘』という小説がある。この小説はカトリック信徒の日本人によって書かれており「原爆は神の恵み」として表現されている。GHQにこの表現が気に入れられてGHQの検閲を通ったというエピソードもある。西日本新聞の検証記事から引用する。

「長崎の鐘」は原爆の惨状を克明に描き日本人の米国への反感をあおる恐れがあった。しかし、GHQにとって発禁にするには惜しい内容だった。なぜか。カトリック信徒永井の原爆観が対日政策上、極めて都合の良いものだったからだ。永井は「原子爆弾が浦上に落ちたのは大きな御摂理である。神の恵みである。浦上は神に感謝をささげねばならぬ」と書いている。GHQ検閲官の報告書には「長崎の鐘は原爆を地震や噴火といった天災のように描き、政治問題ととらえていない」とある。

このGHQの報告書から戦後のプロパガンダ事情がよくわかる。

福島の神

戦後から60年以上経った今、日本で同じようなことが行われている。経済財政担当相が神様を持ち出してきたのだ。時事通信の記事から引用する。

与謝野馨経済財政担当相は20日の閣議後会見で、東京電力福島第1原発事故は「神様の仕業としか説明できない」と述べた。同原発の津波対策に関しても「人間としては最高の知恵を働かせたと思っている」と語り、東電に事故の賠償責任を負わせるのは不当だとの考えを重ねて強調した。

おいおいおい。人間として最高の知恵を働かせた結果が「津波の指摘を無視した」とか「非常用電源は全部海側にあった」とかになるのか。原発の事故情報を隠ぺいするのは確かに人間の知恵だけどね。

酷い事態になると神や宗教を使って正当化しようとするヤツらが出てくる。別に宗教が悪いわけじゃない。信仰心が被災者を救う場面はこれからどんどん出てくるはず。冒頭に貼った震災の地で祈る僧侶の写真は世界中で感動を呼んだ。俺が怒りたくなるのは神を利用してまで事実から目を背けさせようとするヤツらと、そこまでして隠したい事実に対してだ。福島の悲劇が神の仕業だというなら、その神をチェーンソーでぶっ殺してやる!!

レスト・ウィ・フォーゲット。マリリン・マンソンの『ファイト・ソング』も神を利用する体制との闘争を煽る名曲。

バトル・オブ・ロサンゼルス。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンはとりあえずこれがおススメです。

Sa・Ga 全曲集神をチェーンソーでぶっ殺すゲーム。

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