タイトルを最初に見た印象は「誰とでも仲良くなれる? それも3分で?」と、やや懐疑的でしたが、読んでみたら「これは意外といけるかも!」と思わずうなった一冊。

僕は、誰とでも仲良くなる必要はないですし、なれるとも思ってません。そんな僕でも、イベントやパーティーなどの初対面の人が多い席では、やはり気まずいいは避けたいものです。これが、営業や接客などの普段から人と接することの多い仕事なら、なおさらでしょう。

本書は、そんな万人の悩みである「初対面の気まずい思いをなくし、誰とでも仲良くなり、継続的な関係をつくりたい!」という思いを解決してくれる本です。

まずは、基本的な対人関係の法則として有名なものに「ザイアンスの法則」というものがあります。この法則は、

  1. 人間は知らない人には攻撃的・冷淡な対応をする
  2. 人間は相手の人間的な側面を知ったときに、より強く相手に好意を持つ
  3. 人間は会えば会うほど好意を持つようになる

の3つから成り立っています。初対面の時に重要なのは1. で、「自分から相手に好意を持つ」ことが重要になります。

続きます。

 しかし、自分が勝手に好意を持ってるからといって、いきなりフレンドリーすぎる対応ももちろんいけません。

人との対話には、親密度によって自己開示の段階を考えましょう。著者は、下記のようなレベルを提唱しています

LEVEL1

年齢(世代)、星座、血液型、出身地、業界(職種)、オフィスに関すること、趣味、持ち物、最近の笑える軽い失敗、自覚している容姿やキャラクター。


LEVEL2

現住所、子ども(育児)、変なクセや習慣、受験や就職の成功、転職、婚活、仕事上でのミス(年に数回程度の重さ)、恋愛ネタ(恋人ができた、ノロケなど)。


LEVEL3

給与や金、仕事のグチ、受験や就職の失敗、致命的なミス(一生に一回程度の重さ)。


LEVEL4

犯罪、裏切り、離婚、経済破綻、社内人事、内部秘プロジェクト、ディープな男女関係、悪口、人の死にまつわる問題。


著者は、初対面の時に話題にできるのはせいぜい、LEVEL2までとしています。他人との距離感をはかるのが苦手な方は、まずは、LEVEL1で抑えておくといいでしょう。

しかし、LEVEL1で抑えておくと、話すネタが尽きてしまうかもしれません。そこで強い武器が「きどにたちかけし衣食住」です。

みなさんこの「きどにたちかけし衣食住」って知ってました? 僕は、恥ずかしながら知りませんでした。「きどにたちかけし衣食住」とは、初対面の相手との会話に使える、9つのトピックの頭文字を並べたもので、

 気候:天気、寒さ、暑さ、日が短い・長い

 道楽:趣味、休日の過ごし方

 ニュース:最近のトピック、世間話、身近なこと

 旅:旅行の予定、好きな地域

 知人:共通の知人、あの人知ってる

 家庭:両親、兄弟、配偶者、子供

 健康:運動、健康法、ストレス解消法

 仕事:成功談、失敗談、うれしかったこと

衣食住:ファッション、住まい、食べ物

となっています。この「『きどにたちかけし衣食住』って知ってますか?」自体もネタにできそうですね。

本書では、さらに初対面をクリアした後のフォローのメールの仕方など、継続的な関係を築くためのノウハウも掲載されています。これらのノウハウと素敵な笑顔、そして相手に対する敬意があれば、本当に誰とでも仲良くなれるような気がします

これから新年度に向けて、お初の方と出会う機会も多くなるので、この本でもう一度対人関係の基礎を学んでおきたいですね。

(聖幸)