佐々木 亜弓

  -バイオダイナミック・ブロ−ドキャスタ−とは-

 今、地球汚染がここまで拡大化、深刻化し、もうどうしようもないとさじを投げ出す人もいる中で、このバイオダイナミック農業は希望の光を与えていますが、伝統的なバイオダイナミック手法では調合剤を畑にまくなど、人手、労力を必要とし、現代のような大規模農場には不向きです。そのため、よいものとわかっていてもなかなかとっつきにくいものでした。
 しかし最近、米国ジョ−ジア州のあるバイオダイナミック農場主が人手もかけずにバイオダイナミック調合剤を効率的に農地に与えることに成功しました。この人はパイプ状の装置を使ってそれぞれの調合剤が持つ振動パタ−ンのみを放射したのです。このパイプ装置は人工的な動力源を必要とせず、環境中に無尽蔵にあるエネルギ−を動力源とします。
 1つ1つの農地に合わせてそれぞれの調合剤のポテンシ−(希釈度合い)を定めたものをパイプに入れると、あとは調合剤の振動パタ−ンが自動的に放射され続け、その原型パタ−ンに従って周囲のエネルギ−が秩序性をもつようになります。これにより無秩序だった農地のエネルギ−パタ−ンが生命力を高める目的とともに秩序を保ったエネルギ−パタ−ンへと変容していき、結果において環境のバランスが整い、作物の生命力が高まります。
 人間同様、農地は1つ1つが独立有機生命体であり、特徴やクセを持っています。言うまでもなく、農地の持ち主の考え方や意図、意識が農地や作物に反映されます。このパイプ装置はラジオニクス(現代の科学では解明されていませんが、原子核に直接作用するある種のエネルギ−を扱う学問で、装置のオペレ−タ−自身の意図や想念が関与します)の考え方に基づいた装置で、原型パイプの創始者は米国人のガレン・ヒエロニムスです。ヒエロニムスが開発したこのコズミック・パイプは米国で特許も得ています。このパイプを改良したものがバイオダイナミック・パイプ(正式にはバイオダイナミック・フィ−ルド・ブロ−ドキャスタ−)で、重力のみでなく引力をも考慮して作られています。このパイプを通して、バイオダイナミック調合剤のみでなく、農地所有者の意図そのものも振動パタ−ンとして放射することが出来るのです。
 このバイオダイナミック・パイプは米国を中心に世界で約100本ほどが使われていて、その効果は十分に認められつつあります。このパイプはバイオダイナミックスに携わる人々の間でも,まだほとんど知られていないのが現状です。日本では残念なことにバイオダイナミックスそのものが有機農法に携わる人々の間でもほとんど知られていません。