PSP goレビュー:私の愛したPSP

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    PSP goレビュー:私の愛したPSP

    PSPには特別な思い出があります。

    4年前、最愛の妻と結婚しました。その結婚式の前日、婚約者が突然ドアをノックしてサプライズギフトをくれたのです。それが初代PSPでした。彼女は私が永遠に中ニ病であることを受け入れる印としてPSPをくれました。それだけに昨今のPSP goの評判、ソニーブランド失墜のニュースは人一番私の心を痛めていました、ってすみません感傷的になって。

    PSP goレビューは続きを読むから。

    お値段

    2万6800円 11月1日発売(日本発売時)

    ハードウェア

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    333MHzのプロセッサに64MBメモリーと、Goは従来のPSPよりも速くありません。一方で16GBフラッシュメモリを内蔵し、拡張用マイクロM2スロットを装備、UMDドライブを廃止することで初代PSP比50%小さく、40%軽くなってます。液晶は3.8インチと従来よりも0.5インチ小さくなっていますが、解像度は480x272のまま。

    1週間PSP goを使ってみましたが、この小ささにすっかりなれましたよ。スライドはスムースかつ、しっかりと止まり、軽く手の中に収まります。

    金属からプラスティックに変わった筐体は悪くないものの、Adam Frucciいわく「安っぽくないけど、高級感もないよね」とのこと。初代PSPについていえば、あれは高級感ありましたよね。

    品質についてもう少しいうと、Zune HDを持つとなんか未来的だったんですけど、PSPgoを持つとなんかキッズ携帯を持っている感じ。

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    ボタンは薄くなったおかげで十字キーのストロークも短くなり、やっぱり初代PSPのほうが快適でしたね。Lボタン、Rボタンは全体的にソフトで、○×△□ボタンは硬くてデジタル。セレクト、スタートボタンはでかすぎてスペースの無駄。横についていたボタンは従来PSPと一緒で、WiFiスイッチが電源スイッチに変わったくらい。

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    液晶は鮮やかで輝度調整で一番明るくすれば直射日光の下でも使えます。黒も私が使っているiPhone 3Gよりも引き締まっていていいです。解像度が480 x 272とiPhoneの480 x 320と比べて0.3インチほど少ないせいで文字が小さくみえるし、ムービーをワイドで見るとジャギーが出てしまうのが難点。

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    その上タッチスクリーンでないのが本当に残念。特に閉じてブラウザやPSストア、XMBを使うときはフリックしたりズームしたりしたいのに。もうなんでできないのさ。

    つまり閉じた状態では何もできないんです。たまに間違ってLボタンをおしてしまいムービーを最初から再生された日には、かきむしりたくなりますよ。しかもこれ、よくやるし。

    Bluetooth通信機能をつかえばSIXASIS/Dual Shock3コントローラを使うことができます。同期はとても簡単で、完璧。でも、その場合どこにPSPgoを置いて使えばいいのか、ちょっと考えちゃいますね。PSPgoそのままじゃ立てられないので、結局膝の上に置いて使うしかないのかな。

    PSPgoのデザインを見返すとこれが次世代PSP、つまりPSP2の元になるんじゃないでしょうか。PSP2はデュアルアナログスティック、タッチスクリーン装備。もちろん高速プロセッサにRAMも増量、もしかしたら3G通信ができるかもしれない。さらにもしかしたら金属製になって、手裏剣になるかもしれないし、夢は膨らみます。とはいえ、とにかく今はこのGoしかありませんからね。

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    (写真:PSPは初代PSP)

    ソフトウェア

    正直いってハードウェアがかなり良くなっているのに対し、ソフトウェアはその半分以下のレベル。古臭いPSPソフトはそのままで、たとえばWiFi自動で接続できないので、いちいち手動でしかもボタンをおしまくって設定しなければいけません。それにPSストアからのダウンロードバックグラウンドでやってくれません

    PS3は他のことをやっていてもゲームやムービーをバックグラウンドでダウンロードできたのに、PSP goはダウンロードをはじめると他のことは一切できなんですよ。たとえば1.6GBのムービーのダウンロードをはじめると、終わるまでPSPは死んだも同然。だってWiFiはスローな802.11bだしね。もちろん圧縮率の高いSDムービーならファイルサイズが小さくて済みますけど。

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    ブラウザも間違いなく旧式です。もういい加減この指アイコンを上下させるのやめたいし、RAMが足りないからGizmodoを読み込ませただけでもうRAM不足に。初代PSPでも同じで、PS3でも起こりがちなんですが。というか、ソニーはブラウザを共通化してるって宣伝してたけど、全然うまくいってないじゃないですか、もう。

    PSPミニはiPhoneアプリみたいなもの(実際iPhoneと同じゲームがあります)ですが、制限はかなり厳しくiPhoneゲームを移植したとしても通信機能が省かれそうです。ソニーがどれだけ開発ベンダーを捕まえられるかが肝ですね。ちなみにカタログ上、225種類のPSP goゲームが用意されています。

    まだご存知ないかもしれませんが、キラーアプリが用意されています。XMBからPSP goを閉じると、でかいアナログ時計が表示されるんですよ、これは便利ですね。

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    バッテリーライフ

    WiFIオン、液晶輝度最大でムービーみたり、ゲームしたり、XMBを使ったりと色々やってみたところ、4時間47分ほどもちました。これはだいたい従来のPSPと同じくらい。ただPSPが大容量バッテリーが使えたのに対して、PSPgoでは基盤の下に充電池が入っていて、交換するには保証シールを破らなきゃいけなくなります。

    PSPgoはどこにいく?

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    PSPgoゲームができるZuneHDで、むっちゃくちゃカッティングエッジなガジェットで、ナイスなソフトにメロメロにされるべきだったのに、なんか単なる小さく廉価なPSPに落ち着いちゃいました。直接のライバルはDSiですけど、他にも昨今のパーソナルマルチメディアプレイヤースマートフォンと比較して「これだ!」というメリットが余りないんですよねえ。作りに高級感はないし、ソフトはアレだし。

    そうそう、言い忘れたけどアナログスティックは依然1個です。

    結婚から4年たって、僕たち夫婦は前にも増して愛を深めました。でも愛したPSPは捨てもせず、使いもせず、どこかの棚で埃をかぶって放置されてます。PSP goはUMDを捨てたかわりに軽く小さくなりましたが、それだけ。やっぱり私は次世代PSP、PSP2が出てくるのを待ちますかね。

    最後にまとめ。

    プラス

    ・持ちやすいデザイン

    ・無理やりジーンズのポケットに入る

    マイナス

    ・ボタンは使いやすいけど、従来PSPよりは劣る

    ・ソフトは古臭い(ブラウザ、ダウンロード機能、テキスト入力)

    ・ZuneHDやiPod touchと比べるとインパクトが薄い

    ・WiFiが802.11bで古くて遅い

    Mark Wilson(原文/野間恒毅)